セカオワ10年の歩み、そのすべてが歌われた全国ツアー「BLUE PLANET ORCHESTRA」。
最終日さいたまスーパーアリーナ公演に完全密着!!
文=小栁大輔 撮影=yoshie tominaga、shunsuke kondo
セカオワのデビュー10周年を記念して行われたツアー「BLUE PLANET ORCHESTRA」の本質とは、まさにセカオワの「すべて」を見せる、というテーマにこそあった、と僕は思う。なにしろ、“幻の命”に始まり、“虹色の戦争”“スターライトパレード”が歌われ、本編は直近の代表作“tears”が高らかに歌われ、ラストのラストは“RPG”で終わるのだ。そして、そのすべての楽曲が14人のフルオーケストラによって再アレンジ、再構築され、新たに生まれた感動をともなって歌われていくのである。セカオワ自身による、セカオワが戦ってきたこの10年とはなんだったのか、という問いかけと答え探しが同時に行われていくような時間であるようにも感じたし、Fukaseの姿にはこのツアーの先にすでに大きな景色が見えているような、そんな確信を感じるところもあった。見る人によって様々だと思うが、あらためて自分にとってセカオワとの出会いがもたらしてくれたこの10年とはなんだったのか、その実感の輪郭が形になっていくような、この10年を振り返りながら、同時に今の自分の感情や悲しみや悩みや今感じている喜びの質がわかってくるような、そんな不思議な時間を、僕は過ごしていた。言うまでもないが、こんな「共生」の力を持ったロックバンドはセカオワをおいてほかにはいない。セカオワはこのツアーでもその力を見せてくれたし、このツアーの4人もやはり最高に無二だった。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年6月号より抜粋)