かやゆーのその一言が、とても"らしかった"。
ロックのステージでは、しばしば"強さ"が物語として求められてきた。
傷を抱えながらも立ち上がり、乗り越え、観客を鼓舞する。
ステージに立つ者は"ヒーロー"であることを期待される。
弱さが語られるとしても、それは最終的に克服される前提のうえで、だ。
だが、かやゆーはその構造を最初から引き受けない。
「幸せを届けるために音楽をやっているつもりはない」と言い切る。
それは突き放しのようでいて、甘い嘘をつかないという覚悟でもある。
強さを鼓舞され続けることに、もう多くの人が疲れている。
「頑張れ」「夢を持て」「自分を信じろ」──
正しすぎる言葉ほど、ときに刃物のようになる。
そんな時代のなかで、かやゆーは言う。
「俺も弱い」と。
救う、とも。導く、とも言わない。
傷ついた者が、傷ついた者の隣に座る。
立ち上がらせるのではなく、ただ一緒にいる。
それだけの音楽。
そしてその音楽が、強さの象徴のような場所──日本武道館を、平日に満員にした。
ヒーローの物語ではなく、弱さを隠さない物語が、
いま、これだけの人を動かしている。(古閑英揮)