メジャーデビュー10周年、二度目の甲子園ライブ、そして初のベストアルバムのリリース。そんな記念すべき夏を駆け抜けるあいみょんに、いつもどおり真正面から「音楽」の話を聞かせてもらった。rockinon.comでは、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』2026年10月号のインタビューから一部抜粋してお届けする。インタビュー=小栁大輔 撮影=横山マサト
──まず、甲子園(AIMYON 10th anniversary LIVE 2026「、、、」IN 阪神甲子園球場)お疲れ様でした!ありがとうございました! 無事に終わりました。──終わっての気分はどうですか?甲子園が終わったあとは一日移動して、またそこからいろんなことがあったので、余韻に浸れず、今日まで来ちゃってます(笑)。いいライブで、楽しかったなあっていうのはあるんですけど、武道館(AIMYON 10th anniversary LIVE 2026「、、、」IN 日本武道館)が待っているので、そこに向けてより勢いがついた感じはありますね。みんなからのお祝いの熱量を持って武道館に行けたらなって思っています。──甲子園は、地元西宮っていうのもあるけど、あの祝福感? すごかったね。地元にあんなに有名でおっきいハコがあるって、マジで西宮に生まれてよかったって思っています(笑)。甲子園では今までもいろんなアーティストの方がライブされていますけど、やっぱり私は「甲子園が地元です」って言えるのがラッキーって思ってます。──だって、ほんっとに地元なんでしょ?めちゃくちゃ。甲子園の前を通って高校とか行ってました(笑)。だから、今回もいろんな地方からたくさんの方が来てくださって、すごく嬉しかったですね。前回(2022年)の甲子園が11月だったので、今回は7月で夏祭りが2日間できた気分です。声は全っ然違いますね。やっぱ若い、本当に若い。おとなになっても声変わりあんねんや、みたいな(笑)
──ベストアルバム、全43曲あるんですよ。あいみょん、これ連続で聴いた?チェックの時に聴きました。最初は飲まへんけどコーヒー頼もうかなって思ったぐらい、寝てまうかもしれないって思ったんですけど(笑)。でも、スタッフさんと「声、若~」「歌詞ヤバ~」っていいながら、ミュージックビデオも同時に流しながら聴いて、面白かったですね。普段のアルバムのマスタリングより全然ピンピンして聴けた感じがありました。──僕も試しに43曲通してちゃんと聴いたんですよ。致死量のメロディ(笑)。結構時間かかりますよね(笑)。自分はバーッと聴くことで、自分の歌い方の変化や声の変化を面白がれた感じはしました。──楽曲に対してのある種のドライさというか、そこもあいみょんらしいと思うんだよね。曲って自分が作ったものだけれども、言わば授かりもので、流れてきたものをちゃんとキャッチできただけの話です、みたいな。そういう、楽曲への涼しげな信頼感が満ちていて。そうですね。ちょっと他人事みたいな感覚で聴いていたかもしれないです。──なんか思い出して泣けてきちゃう、みたいなことはないんだ。いやあー、そういうのはなかったですけど、楽曲だけじゃなくて楽曲を作っていた当時の生活、背景とかも覚えていて。“生きていたんだよな”を作った時はまだ実家にいてこうやったなって思うと、「頑張ってきてよかったなあ」ってじんわりすることはあります。けど、曲ではまだ泣いてないですね。はははは!──今までのアルバムにも素晴らしい曲がいっぱいあるじゃない? そこからも抜粋して、本当にベストアルバムです、みたいにやることもできたでしょ。ああ、そのパターンの方もいらっしゃいますよね。でも今回はわかりやすくシングルコレクション的なことなのかなと思って。──あいみょんの中では、いちばん大きな変化だなって思う部分と、いちばん変わってないなって思う部分は、どういうところなの?いちばん大きい変化は、声ですね。変わらないのは、好きな曲を書いてるなっていうところ。作り方は変わってないです。やっぱり年齢を重ねると自分も経験値が上がっていって、前半に収録してる曲は歌詞が若いし、比喩表現の使い方とかは、だんだん難しくなってたりとか。──声は違うよね。全っ然違いますね。やっぱ若い、本当に若い。大人になっても声変わりあんねんや、みたいな(笑)。土台は一緒なんですけど、昔のほうがエネルギッシュ。いい意味で抑揚がないというか、ずっとおっきい声出してる、みたいな。──それは、「こんな声出しちゃって、あの時は若かったな」みたいな感じなのか、「もうあの感じは出せないな」なのか、そのあたりはどう?あの時の声は、もう出ないと思います。なんで昔はあんなエネルギッシュやったのかと思うと、全く私のことを知らない人たちに届けるための制作やったからかなと。今の私のことをある程度知ってる人たちに届けるのとでは、全然気持ちが違うので。「私を見てくれ! 知ってくれ! この歌声を聴いてくれ!」っていうエネルギーが異常なほどあった。「売れたい! 目立ちたい! 知ってほしい!」っていう気持ちが、あの時はかなり──今もありますけど、そこの違いだと思います。──初期の楽曲は、いろんなものが混然としてるというか、たとえば“生きていたんだよな”なら、テーマ選び、それからショッキングな現場の描写、そしてあいみょんの「私の歌を聴いてくれ」っていう歌声の強さ。いろんな要素を凝縮してぐしゃっとまとめてぶん投げるみたいな、ある種の捨て身の戦いみたいな(笑)。(笑)。なんかもう、自分のことを取り繕ってる暇もなくて。すべてを出して、「私はこういう曲を作ります」って表現しなきゃ届かないのかなって思ってました。あの時のがむしゃら感は、あの時にしか味わえなかったと思います。