【インタビュー】あいみょん、10年目の夏を追え! ベストオブベストなベスト盤『唇を追え!』に込められた楽曲の真実、二度目の甲子園──最新ロングインタビューで迫る!

【インタビュー】あいみょん、10年目の夏を追え! ベストオブベストなベスト盤『唇を追え!』に込められた楽曲の真実、二度目の甲子園──最新ロングインタビューで迫る!

友だちが家に来てタバコを吸うじゃないですか。その吸い殻、ネタになると思って、マジで1年間ぐらい捨てられないんですよ。

──あいみょんのすごいところは、アーティストとしての変化も成長ももちろんしてきたけれど、突然楽曲のキャラごと変化してきたよということじゃなくて、あくまであいみょんの楽曲観の中で、螺旋階段を潜っていくように深まってきたところで。変化に向き合いながら、スタンダードな名曲を作り続けていると思うんだけど、自分のやり方を構築してきた感じはあるの?あんまり難しいことは考えていないかもしれないです。思いつくままに、閃くから作る、楽しいからやるっていう感覚ではあって。もちろん10年っていう歴史を一から構築してはいきました。初めてのライブ、初めてのワンマンライブ、初めての弾き語りとか、いろんな経験を経て、あいみょんっていうものを構築していったなって思ってはいます。──だとすると、思いつくものの種類と深みが変わったのかもしれないね。それはあるかもしれない。あと着眼点が変わるのはありますし、自分の興味があるものも年々変わっていったりします。でも、ほとんど生活ですね。自分の生活がほんとに大事。そこで曲作りは変わります。自分で言うのもあれですけど、ずっと頭を動かしちゃうので、普段の日常生活でアイデアを蓄積させています。だからどこに放り込まれても、たとえば何もない洞窟に行っても海の曲を書けると思うし、花火が見えてなくても花火の曲を書けると思う。今までの経験とか思い出を、いかに自分の中に溜め込んでおくかだと思っていて。曲作りのヒントは、そこにしかないです。──若い頃は、テーマを作ろうとして作っていた気がする。見つけてきていたというか、探してきていたというか。題材の選び方についてはどう?題材⋯⋯探している感覚はないかもしれないです、今は特に。たまたま見たものに興味があって、これを曲にしたら面白そう、ぐらいの感じ。10代の頃は、友だちに「恋愛の話を聞かせて」とか言って、そっから作ることもあったんですけど。そう考えると確かに、前のほうが探しに行く感覚が強かったのかもしれないです。今は「たまたま」とか「ながら」でいい。家に送ってもらう最中に、「いいアイデア見っけ、ラッキー!」みたいな。そこから生み出すほうが得意かもしれないです。──その感覚で表現し続けるって、自分だったら怖くてしょうがないよ。えええー!?──新しい具体のインプットなしで、人前で喋るとか、怖くてしょうがない。ああー、それこそコロナ禍の時に、「外に出られない、人に会えないで曲作りってできるものなのか」っていう質問をたくさんされて。私、全然できちゃって気まずいみたいな(笑)。だから、自分はあくまでも自分の生活があれば、曲は書けるタイプなんだなって。──生活って日々の営みの集積だからさ、事件は起こらないじゃない?そんなに起きないですね。でも、それこそ事件を自分から作ればいい。たとえば私、「彼氏来たみたい! タバコ吸う人と付き合ってるみたい!」って思えるから、キッチンに灰皿を置いているんですよ。それで、友だちが家に来てタバコを吸うじゃないですか。その吸い殻、ネタになると思って、マジで1年間ぐらい捨てられないんですよ。自分はタバコ吸わないから、普段は吸い殻見れないので、ラッキー!と思ってずっと置いていて、こないだようやく捨てました。また誰か吸いに来てほしいな。喫煙者募集中(笑)。そういうことを、自作自演すればいいというか。友だちが来た時のグラスとかも、なんか思いつきそうで、写真撮ったり、すぐ片づけない。曲だけじゃなくって、デザインとかにも繋がっていきますね。いつからかそんな感じに⋯⋯でも、振り返れば、中学校ぐらいの時からですね。お母さんに「捨てろ」って、しょっちゅう怒られてました。人から生まれたものに何かエネルギーを感じちゃうっていうか、「何かになりそう」って思っちゃうので、捨てられない。ゴミ屋敷になる人の発想かもしれないですけど(笑)。(実家でも)ごちゃごちゃした部屋に住んでいたんですけど、ヒントがたくさんあって。タバコももちろん吸えないし、誰も家の中で吸わなかったんで、公園でタバコの箱を拾って飾ってました。ラッキーストライクのパッケージが「かっこいい!」って思って拾って、上京の時に持ってきて、未だに持ってます(笑)。それが未だに続いている感じです。──まさに生活の断片というか。そこに引っかかりがあるんだよね。そうですね。なんて説明したらいいんですかね? ほんと、自作自演っていう言葉がピンときてるかもしれないです。普通の生活してたら、きっとこんなこと起きないだろうから、想像力を働かせてます。トイレットペーパーを替える時も、あえて芯を捨てずに置いておくんです。そうしたら、なんか閃きそうって思っちゃう。彼氏が替えたものなのか、自分が替えたものなのか。トイレットペーパーのいざこざってあるよな、とかって閃きたい、思いつきたいので、見ときたい。それで自作自演しちゃいたい。「私は今、トイレットペーパーの芯を捨てない人と付き合っている」とか考えるのが好きなのかもしれないです。──その解像度で生活してたら、事件だらけだよね。ははは! ほんと事件だらけです。その想像力を働かせる力って、どうやって身につけたらいいのかなって思うけど、そこは両親のおかげなのかな。ゴミ捨てろって言いながら、そのままにしてくれてたな、勝手に捨てられなかったなって(笑)。西宮で、大家族で暮らしていたことが、自分をこういう人間にしたんやなって思います。
【インタビュー】あいみょん、10年目の夏を追え! ベストオブベストなベスト盤『唇を追え!』に込められた楽曲の真実、二度目の甲子園──最新ロングインタビューで迫る!
──『唇を追え!』というタイトルについても聞こうかな。唇を追うのはなんでなんですか?ははは! でも、アルバムのタイトルより今回のベストアルバムのタイトルがすごく難しくて。「どうしよう!」ってギリギリまで悩んで。ほかのアーティストさんのベストアルバムを見ると、『シングルコレクション』、199何年から何年、みたいなものがわりとスタンダードで、それでもいいんじゃないかと思ったんですけど、自分としてはやっぱり遊び心、好奇心を忘れたくない。『ほんっとうにそれでいいのか、自分!? 今までスタンダードでいったことなんかなかったやん!』って(笑)。諦め切れず粘った末に、ピコーン!って思いついたタイトルが『唇を追え!』でした。ぱっと見なんやねんって思いますけど、私のこの口から発せられている声、歌詞っていうものを追いかけてほしい、追い続けてほしい。自分もずっと理想を追いかけているし。そう思うと、すごくピッタリのタイトルなのかもって。ただ、ベストアルバムっぽくはないっすよね?(笑)。でも、私らしいし、いいタイトルだと思うって周りの人も言ってくださって。検索しても私しか出てこないタイトルをつけたいと思ってて、とにかくいろんな言葉を合体させて、自分の言葉を作りたいので⋯⋯気に入ってます!──ベストアルバムのタイトルっぽくないかもしれないけど、でも、一回つけちゃったらさ、これしかなくない?そうなんですよ。私のベストアルバムのタイトルっぽい!と思っています。
このインタビューの完全版は、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号に掲載!
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