──あいみょんのすごいところは、アーティストとしての変化も成長ももちろんしてきたけれど、突然楽曲のキャラごと変化してきたよということじゃなくて、あくまであいみょんの楽曲観の中で、螺旋階段を潜っていくように深まってきたところで。変化に向き合いながら、スタンダードな名曲を作り続けていると思うんだけど、自分のやり方を構築してきた感じはあるの?あんまり難しいことは考えていないかもしれないです。思いつくままに、閃くから作る、楽しいからやるっていう感覚ではあって。もちろん10年っていう歴史を一から構築してはいきました。初めてのライブ、初めてのワンマンライブ、初めての弾き語りとか、いろんな経験を経て、あいみょんっていうものを構築していったなって思ってはいます。──だとすると、思いつくものの種類と深みが変わったのかもしれないね。それはあるかもしれない。あと着眼点が変わるのはありますし、自分の興味があるものも年々変わっていったりします。でも、ほとんど生活ですね。自分の生活がほんとに大事。そこで曲作りは変わります。自分で言うのもあれですけど、ずっと頭を動かしちゃうので、普段の日常生活でアイデアを蓄積させています。だからどこに放り込まれても、たとえば何もない洞窟に行っても海の曲を書けると思うし、花火が見えてなくても花火の曲を書けると思う。今までの経験とか思い出を、いかに自分の中に溜め込んでおくかだと思っていて。曲作りのヒントは、そこにしかないです。──若い頃は、テーマを作ろうとして作っていた気がする。見つけてきていたというか、探してきていたというか。題材の選び方についてはどう?題材⋯⋯探している感覚はないかもしれないです、今は特に。たまたま見たものに興味があって、これを曲にしたら面白そう、ぐらいの感じ。10代の頃は、友だちに「恋愛の話を聞かせて」とか言って、そっから作ることもあったんですけど。そう考えると確かに、前のほうが探しに行く感覚が強かったのかもしれないです。今は「たまたま」とか「ながら」でいい。家に送ってもらう最中に、「いいアイデア見っけ、ラッキー!」みたいな。そこから生み出すほうが得意かもしれないです。──その感覚で表現し続けるって、自分だったら怖くてしょうがないよ。えええー!?──新しい具体のインプットなしで、人前で喋るとか、怖くてしょうがない。ああー、それこそコロナ禍の時に、「外に出られない、人に会えないで曲作りってできるものなのか」っていう質問をたくさんされて。私、全然できちゃって気まずいみたいな(笑)。だから、自分はあくまでも自分の生活があれば、曲は書けるタイプなんだなって。──生活って日々の営みの集積だからさ、事件は起こらないじゃない?そんなに起きないですね。でも、それこそ事件を自分から作ればいい。たとえば私、「彼氏来たみたい! タバコ吸う人と付き合ってるみたい!」って思えるから、キッチンに灰皿を置いているんですよ。それで、友だちが家に来てタバコを吸うじゃないですか。その吸い殻、ネタになると思って、マジで1年間ぐらい捨てられないんですよ。自分はタバコ吸わないから、普段は吸い殻見れないので、ラッキー!と思ってずっと置いていて、こないだようやく捨てました。また誰か吸いに来てほしいな。喫煙者募集中(笑)。そういうことを、自作自演すればいいというか。友だちが来た時のグラスとかも、なんか思いつきそうで、写真撮ったり、すぐ片づけない。曲だけじゃなくって、デザインとかにも繋がっていきますね。いつからかそんな感じに⋯⋯でも、振り返れば、中学校ぐらいの時からですね。お母さんに「捨てろ」って、しょっちゅう怒られてました。人から生まれたものに何かエネルギーを感じちゃうっていうか、「何かになりそう」って思っちゃうので、捨てられない。ゴミ屋敷になる人の発想かもしれないですけど(笑)。(実家でも)ごちゃごちゃした部屋に住んでいたんですけど、ヒントがたくさんあって。タバコももちろん吸えないし、誰も家の中で吸わなかったんで、公園でタバコの箱を拾って飾ってました。ラッキーストライクのパッケージが「かっこいい!」って思って拾って、上京の時に持ってきて、未だに持ってます(笑)。それが未だに続いている感じです。──まさに生活の断片というか。そこに引っかかりがあるんだよね。そうですね。なんて説明したらいいんですかね? ほんと、自作自演っていう言葉がピンときてるかもしれないです。普通の生活してたら、きっとこんなこと起きないだろうから、想像力を働かせてます。トイレットペーパーを替える時も、あえて芯を捨てずに置いておくんです。そうしたら、なんか閃きそうって思っちゃう。彼氏が替えたものなのか、自分が替えたものなのか。トイレットペーパーのいざこざってあるよな、とかって閃きたい、思いつきたいので、見ときたい。それで自作自演しちゃいたい。「私は今、トイレットペーパーの芯を捨てない人と付き合っている」とか考えるのが好きなのかもしれないです。──その解像度で生活してたら、事件だらけだよね。ははは! ほんと事件だらけです。その想像力を働かせる力って、どうやって身につけたらいいのかなって思うけど、そこは両親のおかげなのかな。ゴミ捨てろって言いながら、そのままにしてくれてたな、勝手に捨てられなかったなって(笑)。西宮で、大家族で暮らしていたことが、自分をこういう人間にしたんやなって思います。友だちが家に来てタバコを吸うじゃないですか。その吸い殻、ネタになると思って、マジで1年間ぐらい捨てられないんですよ。
このインタビューの完全版は、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号に掲載!





