劇場では、2人並んで映画を観て、上映が終わると観客から8分間の拍手を受け、なんとノエルが涙を拭く場面さえあった。
上映が終わり、会場が大きな拍手に包まれる。それをさらに盛り上げるリアムの横で、ノエルが涙を拭く。最高の場面。
ノエルは、ラジオインタビューで、映画の中でファンが泣いているのを見るのが重すぎて、もうこの映画は観たくないと言っていたのに、自分が泣いてるところがなんとも言えない。ただし、記者会見には登場しなかった。ハリウッドセレブじゃないし、そこはロックンロールスターということで。残念ではあったけど、ヴェネチアから届くどの写真も映像も、すべて絵になるし、見ているだけで幸せになるので、まあ良いか、という気持ちになる。以下、記者会見で語られたことの全文訳を掲載。内容としてはとても面白いけど、かなりのネタバレなので、絶対に映画を観てから読むことをお勧めする。出席したのは、企画スティーヴン・ナイト(写真右)、監督ディラン・サザン(真ん中)とウィル・ラブレース(左)。
⚫︎この作品の生みの親であるスティーヴン・ナイトに伺います。そもそもどのようにこの企画が始まったのですか?スティーヴン:このドキュメンタリーを作って欲しいと声をかけられて、本当に驚きました。僕はこれまでドキュメンタリーを一度も作ったことがなかったのです。でも、断る人なんていないと思います。こんな作品を作れるなんて、夢のような話ですから。僕自身、もともとオアシスの大ファンでした。この映画を最初から、和解と再生、そして許しについての映画にしたいと思っていた。(スティーブン・ナイト)
最初ノエルと話したのですが、彼もツアー発表への反応の大きさに驚いていました。チケットを求める人があまりに多かったから。そこで明らかになったのは、もともとオアシスが大好きだった世代だけでなく、その次の世代も彼らの音楽を発見し、強い思い入れを持つようになっていたということ。そこで「なぜそうなったのか?」という疑問が浮かんだ。なぜそんなことが起きたのか? そしてなぜ彼らの音楽がこんなに長く生き続けているのか? でした。つまり、それをこの作品で問いかけようとしたのです。⚫︎ノエルとリアムの壊れた関係については、これまでかなり詳しく報じられてきました。この映画の撮影が2人の関係に影響を与えたと思いますか?
それから、なぜ2人は今、この記者会見にいないのですか?ウィル:すいません。2人はついさっきまでここにいて、しっかり写真撮影もしています。なので、ちゃんと来ています。映画制作が2人の関係にどんな影響を与えたかは、分かりません。ただ、2人の関係が再びひとつになっていく過程を、僕らは確かに捉えることができたと思っています。世界中の人たちが、15年間離れていた2人が、「本当にうまくやれるのか?」、「一体どうなるんだろう?」と思っていたと思います。
そして、リハーサルから、ツアーを通して、2人の関係が少しずつ近づいていくのを目の当たりにできたことは、とても光栄なことでした。ディラン:僕たちは、起きていることに影響を与えないようにかなり意識して撮影設計をしました。だから、リハーサルでは、僕たちの存在をバンドから完全に消すことが目標でした。6週間のあいだ、彼らは僕らどころか、撮影スタッフを1人も目にしなかったと思います。僕は別の場所に身を潜めていたので。リハーサルスペースにカメラだけを設置して、そこで起きていることをそのまま撮影しました。カメラによって何かが演出されたように感じさせたくなかったのです。カメラがそこになかったとしても起きていたことに、できる限り近いものにしたかった。ツアーでは、アプローチを少し変えました。観客の中で何が起きているのか、そしてそれが兄弟にどのように影響しているのかも、同じくらい重要になったのです。映画そのものが2人の影響を与えるような作品にはしたくありませんでした。僕らが撮りたかったのは、本当にそこで起きていたことです。観客から送られる愛情と興奮が、2人が再びひとつになる上でも不可欠なものだった。それを記録したかった。音楽が2人を再び結びつけた。2人はステージの上で再会したのです。
⚫︎実際映画でも冒頭から何かが起きています。そして映画が進むにつれ、それが変化していく。最初は2人の間に少し距離があるのに、次第にボディランゲージからも2人が近づいていくのが分かります。映画の構成はどのように考えたのですか?スティーヴン:フィクションを書く場合は、構成も自分でコントロールできます。三幕構成にすることも、ハッピーエンドにすることも、自分で決められる。でも、今回は、現実と実在する人間と、その人間関係に全てを委ねることになる。だから、これがどう転ぶのか、僕たち自身にも本当に分かりませんでした。これは脚本のある作品ではない。実際起きたことを撮影している。たとえば、リアムが初めてリハーサルルームに入ってくる場面。何年振りか分からないほど久しぶりに2人が一緒に演奏しようとしているのに、それまで2人は一言も言葉を交わしていない。しかも2人はイギリス労働者階級出身の男たちですから、ハイタッチしたり、抱き合ったり、泣いたりするわけじゃない。リアムが入ってきて、「ドラムの上にあるのは、何だ?」と言う。誰かが答えると、「じゃあ、それどけて」と言う。それから、「よし、始める? やるか?」となって、「ああ、やろう」と。「ワン、ツー、スリー、フォー」と始まった瞬間、バーンと音が鳴って、もうオアシスなんです。そうやって始まりました。そしてツアーを続けていくなかで、2人の関係が実際に変化していく。その過程を、僕たちは、ずっとカメラで撮っていたというわけです。2人の子供たちも仲良くなっていき、再び家族になっていったんです。本当に幸運だったと思います。なぜなら、実際そういうことが起きてくれたからです。そういうことが最初から起きて欲しいなあと願っていました。というのも、この映画を最初から、和解と再生、そして許しについての映画にしたいと思っていたからです。リアムが初めてリハーサル・ルームに入ってくる場面。何年振りか分からないほど久しぶりに2人が一緒に演奏しようとしているのに、それまで2人は一言も言葉を交わしていない。しかも2人はイギリス労働者階級出身の男たちですから、ハイタッチしたり、抱き合ったり、泣いたりするわけじゃない。(スティーブン・ナイト)