【インタビュー】the McFaddin改めRedhair Rosy。『turn red III』のリリースを経て初ワンマンを開催。「わからないもの」を愛しながら生まれる音楽とは?

【インタビュー】the McFaddin改めRedhair Rosy。『turn red III』のリリースを経て初ワンマンを開催。「わからないもの」を愛しながら生まれる音楽とは?
京都が拠点の6人組バンド・Redhair Rosy。前身バンドであるthe McFaddinを経て、2024年10月に名称を改めて以降、音源リリースをコンスタントに重ねてきた彼らの最新EP『turn red III』には6曲が収録されている。オルタナティブロックを土台としつつ、「踊る」という本能的な欲求を満たすアプローチをしているのが独特だ。

忘れかけていた記憶、何気なく過ごしている日々の中で無意識に抱く感覚などと度々シンクロする歌詞も、不思議な魅力を帯びている。果たして、Redhair Rosyが奏でる音楽の背景にあるものとは? 活動の軌跡、今作に刻んだもの、3月27日に大阪・梅田クラブクアトロで開催する初のワンマンライブ「turn red」について、Ryosei Yamada(Vo)が語ってくれた。

インタビュー=田中大


白と黒の間にある可能性、「黒に近い白は白なのか黒なのか?」とか疑って生きていけるのが、ミュージシャンとして自由を感じられるところ

──バンド名がRedhair Rosyになる前のthe McFaddinは、どのようなバンドとして始まったんですか?

ニルヴァーナのコピーバンドです。あと、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT忌野清志郎Theピーズのコピーとか。

──ニルヴァーナの歌の難易度って、ものすごい高いですよね。

はい。カート・コバーンはめっちゃ歌が上手なので。でも僕、歌えます(笑)。カバーは今でも時々やってますね。最近、ROSSOの“シャロン”をカバーしました。大好きなので。

──オリジナルをやるようになったきっかけは?

最初はコピーバンドとして学校の中で活動していただけだったんですけど、他の学校のバンドがライブをやっていて、「コピーバンドでもいいから一緒にやろうよ」と誘われるようになり、「オリジナルもあったほうがいいよね?」ということで、少しずつオリジナルが増えていったんです。

──プロ志向はあったんですか?

なかったです。僕、学校の先生になろうとしていたんです。でも、こんな感じ(赤髪のバンドマン)になっちゃいました(笑)。

──(笑)。音楽の道に進んだきっかけは?

大学の教職のコースの説明会に行った時にいちばん偉い先生と口論になってしまって(笑)。速攻で母親に電話で謝りました。でも、大学はなんとか卒業しました。

──偉い先生との口論の原因は?

フレッシャーズキャンプという1年生が行くキャンプみたいなのに行った時、お風呂上がりで髪の毛が爆発していたので、室内ですけど帽子をかぶっていたんです。そしたら学生が集められて、先生が「このコースは厳しい。俺がハンコ押さな、教員にはなられへんから気い引き締めていけよ。なめとるやつは無理。室内で帽子かぶってるそこにいるやつみたいなのは無理や」って言われたんです。「なんで一言、『帽子をとりなさい』と言えないんですか?」ってところからむちゃくちゃ喧嘩になってしまいまして(笑)。絶対にハンコもらえないでしょうし、その人から教わる気になれなかったんです。

──その出来事が音楽の道への後押しとなった?

はい。そういうのが何度かあるんです。高校の時も野球部に入ろうとしたら監督と口論になってしまい(笑)。そのおかげでバンドをやれたんです。

──ずっとやっていたthe McFaddinをRedhair Rosyに改名したのは、どういう経緯だったんですか?

高校生の時にオリジナルをやるようになった時点でバンド名を変えようとしていたんです。でも、なんかタイミングがなく、新しい名前も思いつかずだったんです。the McFaddinのベースはサポートで入ってもらっていたんですけど、今のベースが正式に加入してくれることになったので、そこでthe McFaddinが完成したと感じて、名前を変えるならばこのタイミングだなと。

──メンバーはthe McFaddinと同じままRedhair Rosyになりましたが、改名と同時に音楽性を変えることは考えたんですか?

それはなくて。the McFaddin後期、2019年以降の延長線上なんです。


──音楽制作だけではなくて、デザイン周りのこともメンバーが手掛けるDIYな活動スタイルは、意識的に目指してきたんですか?

たまたまそういうことができる人がメンバーにいたので、そうなったんです。「自分たちでやってみよう」というのは、コロナ禍もきっかけになりました。あと「作るのが好き」っていうのが大前提としてあります。

──自分たちの手で形にして表現したいことのイメージは?

「代わりのきかないものをやりたいな」ということですね。「自分たちじゃないとできない」「今じゃないとできない」みたいなことは意識してます。

──バンドのプロフィールに書かれている「割り切れない感情の居場所を鳴らす」とは、どういうことですか?

たとえば僕が学校の先生になってたら、「白か黒か?」をはっきりさせる仕事だったと思うんです。でも、僕は白と黒の間にある可能性、「黒に近い白は白なのか黒なのか?」とか疑って生きていけるのが、ミュージシャンとして自由を感じられるところなんです。せっかくバンドをやれているのだから、そこについて歌いたいんですよね。

──割り切れないものを無理に割り切りたくないということですね。大学の先生と口論になったのも、そういうことじゃないですか?

はい。変わってないですね(笑)。

【インタビュー】the McFaddin改めRedhair Rosy。『turn red III』のリリースを経て初ワンマンを開催。「わからないもの」を愛しながら生まれる音楽とは?

できることなんてほんまに知れてて、大きい海に小さな石を投げこむくらいのことですけど、それをやめると波動、波紋は起きない

──明確に決めなきゃいけない場合もありますが、世の中の大半のことは白黒つけられないですよね。よく言われることですけど、「善」と「悪」も立場が変われば変化しますし。

何が敵なのか、何が正解なのかわからないですからね。そこを楽しんで生きる方法は「矛盾を飲み込む」「それを言葉に出す」みたいなことで、それが生き甲斐やなと感じています。たとえば、作品とかも、何がいいかはその人次第ですし。ビートルズだって嫌いな人はいるんですよ。「売れてるから嫌い」とか(笑)。

──(笑)。前身バンドの延長線上と先ほどおっしゃいましたが、Redhair Rosyになって変化したと感じることはありますか?

僕が特にそうやったんですけど、the McFaddin時代は楽曲をお客さんにぶつけて「バイバイ!」って帰るステージをずっとやっていたんです。でも、「投げたものを受け取ってもらって、投げ返してもらって、それを受け止めたい」みたいな感情になりました。つまり「伝わってほしい」ということですね。

──後ほど、詳しくお伺いしますが、ダンスミュージック的なアプローチをしているのもそういうことですよね? 演者と観客の間に垣根がなくて、「踊る」という喜びを共有し合うのがダンスミュージックですから。

ほんとそうですね。「みんなで身体動かそうよ」という呼びかけもライブ中にしていて、「一緒に遊ぼう」という感覚です。「みんなで」ということを考えた時に、身体が動いて手が上がるビートを選ぶようになりました。

──VJのメンバーがいるのもRedhair Rosyの独特さですが、どういう意図でこの編成になったんでしょう?

「VJを入れよう」ということではなかったです。VJのRyoma(Matsumoto)はギターのTaito(Katahira)の同級生で、MVを撮ることになった時にTaitoからRyomaに依頼したのが最初でした。いろんなライブで僕らと一緒に過ごしている内にVJもやってくれるようになって、感覚的には「メンバー」という感じになっていたんですよね。で、「俺もメンバーになっていいかな?」って言うから、「もうメンバーちゃう?」っていう(笑)。だから、仲いい友だちがたまたまVJだったからこうなったという感覚なんです。「そいつが何をやってるか?」よりも「そいつがいいかどうか?」というか、「人」のほうが大事。それによって音楽以外のものにも手が伸びてるっていうことですね。

──Ryomaさんは他のバンドのMVも手掛けていますよね。ドラムのYu(Ando)さんは他のバンドのサポート、TaitoさんはRedhair Rosyのレコーディングエンジニア。頼もしいスキルを持ったメンバーが集っているのも目を引きます。Ryoseiさんは、THE ORAL CIGARETTESに楽曲提供をしましたよね?

はい。“SODA”という曲です。the McFaddinが“BuBBle”という曲を出した時にボーカルの(山中)拓也くんから連絡があって、ライブに来てくれて、連絡先を交換したんです。そのあとに電話がかかってきて、「北海道と九州、どっちがいい?」って聞かれて、「北海道」と。それでツアーにthe McFaddinを呼んでくれたんですよね。打ち上げでベースの(あきらかに)あきらくんに「Ryoseiに出会えてよかった。もっと欲張ってけよ!」と言われたので、「曲作りたいです」と言ったら「次のアルバムにRyoseiの曲が入ってたらおもろいな」ということになりました。

──メンバーそれぞれのスキルを結集していけば、今後、さらに面白いことができるんじゃないですか?

そうなんです。演奏する以外に制作することも好きなバンドなので。僕も曲を作る時間がすごく好き。それをみんなに聴いてほしいからバンドで演奏するという部分もあるんですよね。

──制作集団、創作プロジェクトみたいな面もあるバンドということ?

そういうことだと思います。プロジェクトと言ってもいいのかもしれない。けど、そこを今「ロックバンド」と言っていて。「こういうバンドがいてもいいんじゃない?」ということを新しく提示したいんです。

──「ロックバンド」とは、どのようなものだと思いますか?

やっぱり「愛と平和」。そこは、今まで聴いてきた音楽から僕らが引き継いでいるものなので。全員が忌野清志郎のファンやったら、戦争はなくなると思いませんか? それが、僕が与えてもらった希望。それがロックなので、そこを引き継ぎたいんです。僕らができることなんてほんまに知れてて、大きい海に小さな石を投げこむくらいのことですけど、それをやめると波動、波紋は起きない。そこを絶やしてはいけないということも思ってます。

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