【インタビュー】ずっと真夜中でいいのに。独占取材! 謎に包まれた未知なる存在・ACAねとの対話で解き明かす、その実像と新作『形藻土』のすべて

【インタビュー】ずっと真夜中でいいのに。独占取材! 謎に包まれた未知なる存在・ACAねとの対話で解き明かす、その実像と新作『形藻土』のすべて
ずっと真夜中でいいのに。が音楽シーンに登場したのは、2018年6月。顔を出さず、メディアにもほとんど登場しない。体裁としては、ミステリアスと言っていい存在。しかし、その極めてコンスタントなリリースとライブ活動を追い続けながら、その音楽をとても身近で、切実で、情熱に溢れたものとして受け止めてきた。そのバリエーション豊かな表現活動を通して、今の社会を覆っているディスコミュニケーションの壁を壊して、新しいコミュニケーションの形を、ずっと真夜中でいいのに。から提案され続けているように感じてきた。2026年になった今、4枚目のフルアルバム『形藻土』をリリースするタイミングで、ACAねがインタビューに応じてくれることになった。ACAねが、ずっと真夜中でいいのに。の表現活動に何を全力で込めているのか、そして『形藻土』で突入した新たなフェーズまでを訊いていくなかで感じたのは、ACAねが、ずっと真夜中でいいのに。の音楽そのもののような人だということ。同時に『形藻土』というアルバムは、ずっと真夜中でいいのに。がACAねそのものに、さらに近づいた作品だということも感じた。わかった気にならないように、でもわかりたいという気持ちに嘘をつかず、ずっと真夜中でいいのに。のACAねと、18曲の大作『形藻土』に迫った。

インタビュー=古河晋 撮影=鳥居洋介


幼少期に頭の中の想像を、そのまま感覚的に発しても、なんか周りが寛容だった。ちょとズレ魔法みたいなのがあるのかもしれない

──これまでずとまよの音楽を聴いてきて、めちゃくちゃ言葉にしっかり意識が張り巡らされて書かれているんだけど、それが感覚的、衝動的に音楽になっていく感じがあって。最終的に言葉を言葉じゃないみたいに扱うというか。普段の、意味を伝えたるためのコミュニケーションの会話の言葉とは違う感じで、ACAねさんが言葉をこねくり回すと魔法が起きて音楽になるような不思議な感じがずっとしてました。なんでこんなに言葉を音みたいに扱えるのか、すごく不思議で。

はあー、それは……ありがとうございます。そうですね、なんかでも魔法って言っていただいて、幼少期の環境が、そうさせているのかもしれないと思うことがあって。幼少期に頭の中の想像を、そのまま感覚的に発しても、なんか周りが寛容だったなって今気づきました。ちょっとズレ魔法みたいなのがあるのかもしれないですね。でも特に奇をてらっているつもりはなくって、普通に言葉を取り扱っているつもりではあって。でもそれが結果、魔法みたいになってるとしたらいいなあと思うので、すごく嬉しいです。

──もしかしたら僕らは育ってく環境の中でいろんなことを制限されて、型に嵌められて、魔法を失ってるのかもしれない。環境が違えば、みんな魔法を使えるのかもしれないけど、それが削がれてしまったところがあって。だからこそACAねさんのような魔法を削がれなかった人が表現するものを見て、それに感動する。でもACAねさんから見ると、それは日常なのかもしれないですね。

そうかもしれないですね、確かに。でも、そこへの疑問みたいなものは、ずっとあるかもしれないですね。

──疑問というと?

その、たとえば人が作った形とかルールっていう輪郭に。今回のアルバムの『形藻土』っていうのは、長い年月をかけて、いろいろ閉じ込められた想いが、やがて化石となって地層になって大地になって、そこに無数の曲がバーッて宿ってて。今話した、人が作った形とかルールとか秩序、輪郭に、本来動物でもある自分らの首を絞められることを疑問に思いたいし。知れば知るほど虚無だし、はたまた考えていることを廃棄してゾンビ化だし。そういうことをひっくるめたいろんな感情も、大地の視点から見たらちっぽけで、やれやれだぜな気持ち。でも、それでもすべて輪廻の中に、その前に後ろにステレオワイドに堆積していく。その記憶の化石が乾いて、また水を吸う。そういう静かな悟りの記録を『形藻土』ってしてみています。

──じゃあ、音楽をはじめた当初から『形藻土』の概念、大地の視点みたいなものがACAねさんの中にあったんですか?

あー、あったと思いますね。大地って表現したけれど、普段踏みしめてる土とか苔とか水とか、はい。それが蓄積される過程に興味があります。

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今回は特に、幼少期と衝動、記録がテーマでもあって。もっと幼少期的な感覚で、これまでの経験からくる今の思考をちゃんと記録したくなったんですよね

──今回のアルバム『形藻土』にACAねさんが何を記録しようと思ったのかを聞かせてください。

はい。今回は特に、幼少期と衝動、記録がテーマでもあって。今は多様な趣味とかマイブームとか、それぞれ違う道を選んだりできるけど、幼少期の小学生のときって、おんなじ給食を食べたり、テニスやってたんですけど、テニスに明け暮れてヒリヒリになるまで日焼けしたり、性別関係なくただ虫捕まえてゲラゲラ笑ったり、アイス食べたり、褒めてほしいからみんなが見てるところで宿題を珍しくやってみたり、あとバターとかハチミツとかもガバッと取ってバッて塗って食べて怒られたり。泣いたり笑ったり、そういう幼少期的な感覚で、これまでの経験から来る今の思考をちゃんと記録したくなったんですよね。それが、より生活のヒントになってる。

──そういうアルバムを作りたくなったのは、これまで作品を作ってきた流れなのか、今という時代がそうさせたのか。

それはたぶん、ここ最近ライブをたくさんやらせてもらっての影響が大きいと思う。ライブのような感情の流れで音楽を聴いたり、作っていくことにしっくりきてて。その形にするために、インタールードだったり、長さも短いのもあれば10分以上の曲もあったり、いろんな曲を流れで聴いてほしくて作っていきましたね。今までも生活を大切にはしてたけれど、今回はよりライブの流れ、感情の流れっていうのがしっくりきてますね。

──そうやってライブみたいにアルバムを作ることで、一曲一曲がいつもと大きく違うものになった感じがします。

そうですね。“地球存在しない説”とかは、別の遠くの惑星から、もうなくなった地球を眺めてるような、みんなが同じ情報を摂取して、映画の『マルコヴィッチ(の穴)』みたいにみんな同じ顔になっていって滅んでいく。こうなった今があるのは、過去の積み重ねで。それがあっての今だから感謝は感謝だけど、この現状を、いなくなった人間の積み重ね、化石に責め立てることはできないっていう、その無力感っていう曲ですね。その要素はほかの曲でもあって、このあとに“間人間”の頭が来るのを大切にしてたんですけど。みんなが同じ顔で、人間なのか、人間じゃないのか、滅んでいっているのか、っていう流れから、“間人間”は、『ソフトマシーン』(ウィリアム・S・バロウズの小説)で。でも、お互いの置かれている状況が違う中でも、鞄の隅で眠る板チョコを思い浮かべるラブソングでもあって。住む世界が違うけど思い続けてる、「痛い」の痛チョコでもあって。でも前向きではあって。歌詞では、《本当は違う絶対 叶うんだって》って、違くたっていいじゃんって言い切ってみたくて。自分ではあまり使わない歌詞でもあるかなあって思ってます。“メディアノーチェ”は、毎日死んだように生きてて、今どこにいるのかもわからないし、安全区域にいるために、思ってないことも本音っぽく言えるようになったり、でも本心とは限らない罠で、でも立ち止まって確認することが怖いっていうか。ただ前に前に、ゾンビみたいに進んでくだけ。気づいたら本腰じゃなく仮腰の暮らしっていうか。仮のボーン、骨につられそうになってることって、ありますよね。


──うんうん、ある。

なんかみんな同じ情報、メディア、注目度が高い情報とされるものを、あたかも真実かのように、疑わない怖さとか。でも発信するうえで、数字というものを100パー考えない情報なんてあるのかな?とか。それがいいとか悪いとかではなく、受け取る側の選択も研ぎ澄まされていかないとなっていう両方の皮肉を込めての“メディアノーチェ”にもしていたりします。

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