SHANK、立ち止まることのないライブバンドが手に入れた新たなビート感を詰め込んだ新作『STEADY』を語る

SHANK、立ち止まることのないライブバンドが手に入れた新たなビート感を詰め込んだ新作『STEADY』を語る

(“Candy Cruise”は)新しくないようで新しいようで、SHANKっぽい……僕、よくわかんないんですけど、そこに関しては(笑)(松崎)

――1曲目の“Candy Cruise”はEPと同名で驚いたんだけど、繋げたかったりしたの?

庵原 個人的にはずっと考えてて。「Candy Cruise」という言葉を思いついて、「よくわからんけどめっちゃ響きがいいな」ってなって、これはEPのタイトルにして、フルアルバムでは曲名に使ってやろうと。

――SHANKらしい要素が詰まってるけど、全体的に軽妙なニュアンスがあって。フルアルバムの広がりを感じさせるし、すごくSHANKらしいけど新しさを感じました。

松崎 メロディを活かしつつ、はっきりとしたノリの曲にしたいと思って。タイトルも含めて、こういう軽快な曲が1曲目なのがいいかなぐらいだったんですけど、いちばん悩んだ曲でしたね。たしかに、新しくないようで新しいようで、SHANKっぽい……僕、よくわかんないんですけど、そこに関しては(笑)。

――“Mind Games feat. HEY-SMITH”は先行して“Mind Games”として配信リリースされてるけど、ホーンが加わるとこんなにも華やかで違った色味になるんだなと感じたり。配信バージョンでは渋めなスカチューンっていう印象もあったけど。

庵原 それは完全にそうですね。

松崎 ホーンは後入れなんですけど、前に“Grimy Window”(1stアルバム『Loving our small days』収録/2010年)って曲でHEY-SMITHに入ってもらった時は、当日に来てもらって将平と「こういう感じで」って話して吹いてもらったんです。でも、そうじゃなくて、ちゃんと一緒に作ってみたいなというのがあって。

庵原 まず、HEY-SMITHのメンバーがホーンアレンジを持ってきてくれて。

松崎 それを猪狩(秀平/HEY-SMITH)と将平と僕がZoomでミーティングしながら「ここはこういうフレーズがいいな」とかやって。だから、曲名にバンド名を入れたいなというのもあったけど、HEY-SMITHがいない時にこの曲がライブとかでやれなくなっちゃうから、先に配信しとこうかなって(笑)。

――こういう言い方が正しいかわからないけど、賢いね(笑)。これはスペシャルバージョンだぞ、と。

松崎 曲自体はよかったし、ホーンアレンジを入れる前から完成はしてたんで(笑)。

――“Rules”みたく激情をぶちまける部分もあったり。

松崎 この曲も、やりたいことを詰め込んでみましたみたいな曲なんですけど、今回わりとビートが速い曲がそんなになくて。エッセンスとして1曲置いておきたかったし、やるなら激しいほうがいいかなみたいな。

――ゆったりとした曲で言えば“High Tide”も気になって。ここまで削ぎ落としてきたか、と。

庵原 PC上で曲を作るようになって、なんの抵抗もなく、こういうこともやりだしたところがあって。スタジオでジャムってるわけじゃないから、やりたいこと、つけたいメロディをつけてみる。で、なんともなかったら捨てればいいし。

――アコースティックな仕上がりも似合うと思ったけど、そうしなかったのは?

松崎 というより、これはバンドでやるために作った曲なんで、そういうのは全然考えなかったですね。

矢面に立ちたいわけじゃないんですけど、誰かが始めないといけないだろうし。ちょっとずつでもやりたいことをやれればいいのかなって(池本)

――フルアルバムの話からは逸れるけど、アコースティックに挑戦したことからフィードバックしたものってある?

松崎 めちゃくちゃ多いと思います。フルアルバムの制作途中にアコースティックアレンジに切り替えて、そこからまたフルアルバムに戻ったんで、いろんなイメージや要素も変わったりしたし。

庵原 あと、音楽は頑張るもんじゃないなというか。

――無理をしても、っていう。

庵原 それは改めて思いましたね。ライブへの向き合い方もそうだし。バンドにもよると思うし、それができてかっこよければいいんですけど、あんまり取り繕ってよく見せようっていうのはできないんだろうな、って。

――ちなみに、ここまでバリエーションが出せたのはEPから収録した“Rising Down”と“Bright Side”があったからとか?

松崎 そうなのかな……うん、そうですね。特に“Rising Down”に関しては、もう本当にこのタイミングというか、制作において意味のあった1曲というか。配信、EP、ここで3回目。「また“Rising Down”か」って言われるかもしれないですけど、僕はここ1年半、ミニアルバム『WANDERSOUL』(2018年)から考えても、この曲がいちばんこう、真ん中にいる気がしてますよね。

――こういった曲たちを引っさげてのリリースツアーが対バン形式で開催ということで、今、いろんなリスクを踏まえて、ワンマンを選ぶバンドも多いよね。

庵原 そうですね。対バンは入れたいですね。ワンマンは散々やったから。

松崎 まあ、どういう状況でもツアーはやるし。その中で何をするかなのかなって思ってますね。

池本 矢面に立ちたいわけじゃないんですけど、誰かが始めないといけないだろうし。ちょっとずつでもやりたいことをやれればいいのかなって思ってて。

――ライブを観てて改めて感じたのは、こういった状況下でもSHANKはSHANKのライブがやれるっていうことだったりもして。

松崎 アコースティックライブをやって、自分らのツアーもやって、「BLAZE UP NAGASAKI 2021」にもイスがあって。その中でライブして、いつもと違うかと言われたら、ステージは何も変わらなかったというのに気づいたというか。だから、コロナだろうがコロナじゃなかろうが、SHANKのすべきことはライブをやることなんだろうなっていう感じですね。

――SHANKって無理に煽ることもないし、押しつけることもないから、それもあるんだろうし。

松崎 そんな偉そうにできるような人間じゃないんですよ、僕ら(笑)。ただバンドが好きで、ライブが好きで、音楽が好きでやってるから。何も押しつけることなんかないじゃないですか。どっちかと言えば、観てほしいから、聴いてほしいから、ステージに立ったんで。それだけだと思いますね。

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