今春、対バン形式の全国卒業旅行ツアーと並行して行われた、東名阪ワンマン・ツアー・Zepp Tokyo公演の模様を収めたDVD。メンバーの大学卒業タイミングということもあり、バンド史上最長のツアーとなった。ただし、本作がねごと初のライヴDVDとなったことは、単純にメモリアル的な意味合いではないと思う。彼女たちは元々、ミュージシャンとして極めてストイックな意識を持ったバンドだったし、ここに来てようやく、ライヴ映像作品のリリースに踏み出すだけの自信と成果を獲得したのだろう。映像の端々から、そのことが伝わってくる。

メンバーそれぞれに高度で奔放なフレーズを放ち、しかも歌の詩情をきっちりと分かち合うアンサンブル。“フラワー”の躍動感溢れる間奏をカメラがアクティヴに追い、一方でレーザーなどダイナミックな演出が加わる“トレモロ”などではウェルメイドな俯瞰映像が用いられるなど、ねごとの魅力を多角的に捉えてみせた作品だ。観ているとライヴに行きたくなるし、バンドをやりたくなる。限定盤は過去のライヴ映像を収めたディスクとのセットになっている。　（小池宏和）