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シンガーソングライター、幾田りらの描く歌世界がさらに豊かで有機的な響きを放ち始めている。今年リリースされた“百花繚乱”の華やかさ、そして“DREAMER”のあたたかな歌声にも、メロディメイカーとしてのセンスが溢れる。そんな彼女の最新曲“恋風”は、恋愛リアリティショー『今日、好きになりました。ニュージーランド編』の主題歌。“ロマンスの約束”“スパークル”に続き、同シリーズ3度目の主題歌を担当することになったわけだが、幾田の歌声が、そして紡ぐメロディがリアルに強い共感性を生むからこそのオファーであろう。今回の“恋風”は「恋」の喜びと不安とを「そよ風」に喩えて表現したピュアなグッドミュージック。幾田の透明度の高い柔らかな歌声──それそのものが、恋の最中の揺れる思いを表現していく。《「君が好きだ」》のシンプルな歌詞がシフォンのように柔らかな歌声に運ばれて、鮮烈に耳に残る。音の余白にもときめきが滲むような、これぞ幾田りらの洗練されたソングライティングだ。素晴らしい。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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