これぞストロークス

ザ・ストロークス『カムダウン・マシン』
2013年03月27日発売
ALBUM
ザ・ストロークス カムダウン・マシン
今回ストロークスは新作リリースにちなんだ活動を一切しないらしい。写真撮影も、取材も、PVも、ライヴも。つまりバンドとしての実体がまるで見えなくなったのである。そんな作品自体からもバンドの実体が感じられない。ただ、どの曲もノリはストロークス。印象的なリフ(必ずしもギターじゃない)の反復で始まり、温度は決して高くなりすぎることはなく、至ってコンパクトにまとまっている曲たちは、どれも気品に満ち溢れている。でも、それこそがストロークスの本質。デビュー当時のサウンドは確かにロックンロールだったが、彼らの魅力はロックンロール特有の汗臭さや泥臭さがなかったこと。だからこそロック原理主義者に叩かれていたが、そもそも最初からバンドとしての実体なんてたいしてなかったわけだ。そういう意味では、捨て曲なしの本作は、ストロークス作品としては群を抜く。

そんな作品は、ラス前に“ハッピー・エンディング”、そして“運命と呼べ、カルマと呼べ”という究極のバンドレス・ソングで終焉を迎える。解散説が飛び交うが、実体のないことを受け入れたような最後には逆に希望を感じる。(内田亮)
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