とうとうこの日が来た!
NY州の現在のワクチン接種率は、成人の59.8%が2回接種済みで、68.9%が1回接種済みだ。6月7日にNY州知事が成人で1回でも接種した人たちの率が70%に達したら、コロナ禍で課せられていた制限をほぼ解除すると発表した。昨日は残り1.4%だったが、今日は残り1.1%!!!!まで来た。
という朗報を待って、エンタメの復活が次々に発表された!
それもブルース・スプリングスティーンがNYブロードウェイを開幕し、フー・ファイターズがマディソン・スクエア・ガーデンを幕開け。セントラル・パークでは6万人フリー・コンサートが行われると発表されたのだ。アメリカにエンタメが戻ってきたことを告げるなんと象徴的で、分かりやすくて、アメリカっぽい復活だろうか。
しかもボスとフーファイは、いきなりキャパ100%でライブを行うのだ!
NYのエンタメは、去年3月のコロナ発生以来、完璧に閉鎖状態だった。日本のようにキャパを少なくして、ライブを行い続けるということもなく、全く開いてなかったのだ。つまり今回1年3ヶ月ぶりにとうとう会場が開くことになる(涙)。なんて長かったんだろうか。
1)ブルース・スプリングスティーン
まず、ブルース・スプリングスティーンが、ブロードウェイを復活させる! NYブロードウェイは去年3月から完璧に閉鎖されていたが、州知事が、18ヶ月の休止を経て9月14日に100%のキャパで再開して良いと発表。
スプリングスティーンが今回発表したブロードウェイのショーは、6月26日から9月4日までの全30公演行われる。つまり、NYブロードウェイが本格的にカムバックする直前まで、彼がウォームアップするということだ。なんて素晴らしいアイディアだろう!
しかも、会場のキャパは100%にして良い。ただし、ワクチン接種済みの人しかチケットは買えない! これにより、残りの1.1%が接種してくれるかもしれない。
ご存知のように、スプリングスティーンはこのブロードウェイでのショー『Springsteen on Broadway』を2017年10月から期間限定で行ったが、あまりの人気で延長に延長を繰り返して、結局計236公演開催。1130万ドル(約113億円)の収益を上げる記録的なヒットとなった。アルバムも出ているし、Netflixでも観られる。
私も何度も延長したおかげでようやくチケットが買えて観れたけど、チケットの値段は自分がライブに出した史上最高額だった。それでも出した甲斐があった、一生に一度の体験となった。おそらくそれでも観られなかった人たちがいたはずなので、今回の再演は嬉しいはずだ。
https://youtu.be/M1xDzgob1JI
スプリングスティーンは、コロナ禍になってすぐに衛星ラジオでDJを始めたのだが、それを聴いて私の心がいかに救われていたことか。どうもありがとうございます。
2)フー・ファイターズ
そして我らがフーファイは、アメリカの成功の象徴であるマディソン・スクエア・ガーデンで去年の3月以来のライブを行う! しかも彼らも100%のキャパだ。
すでにデイヴ・グロールが叫ぶ姿が目に浮かぶ(笑)!
「この日が来るのを1年以上待っていた。ガーデンはめちゃ熱くなるはず。ニューヨーク、超長い夜の準備をしておけ。フーファイの26年を一緒に叫ぼう」と。
ご存知のように彼らは本来、去年結成25周年のツアーを行うことになっていたが、それがコロナで延期。このライブは、コロナ後マディソン・スクエア・ガーデンで初のライブとなるばかりか、彼らの結成記念ライブにもなるので、これはものすごいことになりそうだ。
デイヴ・グロールが、コロナ禍になってすぐに、「俺たちにはいかにライブが必要なのか」を書いた記事があまりに感動的だったことも記憶に新しい。
https://rockinon.com/blog/nakamura/193950
その他にも、インスタで執筆した文章を公開したり、ウェブのライブにも各所出たり、私たちをエンターテインし続けてくれた。どうもありがとう! とうとう本当に会場で会える。このライブも、ワクチン接種済みの人たちだけが入れる。
3)ザ・ストロークス
なんとザ・ストロークスもNYでライブを行う! しかも、アーヴィング・プラザというキャパたった1200人の会場だ。ただしこれは、彼が支持しているNY市長選に立候補しているMaya Wileyの資金集めのためのライブなので、投票権のある人しか入れない。
アーヴィング・プラザはコロナ禍直前から会場の改築のために閉鎖していた。なので、なんと約2年ぶりのライブとなるのだ! それをNY出身のザ・ストロークスで開幕とは完璧だ。このライブもワクチン接種済みの人のみで、キャパは100%となる。
NY州は会場を再開するにあたり、ワクチン接種者のみであれば、100%のキャパでのオープンを許可していて、そうでない場合は、ワクチン接種済みの人たちのエリアと、接種済みではないが、検査で陰性の人たちが入れるエリアのキャパを制限してオープンして良いことになっている。そのどちらにするのかは会場が決めて良いことになっている。
4)ラジオシティ
NYの会場としてはもう一つ象徴的なラジオシティも去年の3月から完全に閉鎖されていたが、今月6月19日にトライベッカ映画祭で、コメディアンのデイヴ・シャペルのドキュメンタリー映画が上映される。それもワクチン接種者のみで、100%のキャパとなる。
5)セントラル・パークで6万人収容のフリー・コンサート
最後に。これまでも50万人を集めたサイモン&ガーファンクルなど歴史的なコンサートを開催してきたセントラル・パークだが、NYにエンタメが戻ってきたことを告げるために、なんと8月21日に、6万人を収容するフリー・コンサートを行うと市長が発表した。
そのツイートで「ダンシング・シューズを履いてくるように! 絶対必要だから」とコメントしている。しかもそれをプロデュースするのは、業界大御所でブルックリン出身のクライヴ・デイヴィスだ。
となると、アリシア・キーズは絶対出るのではないか? 超ベタだけど、JAY-Zと共演なんてあるのかもしれない?!
現時点では、「アイコニック」なスター8名が出演する予定と発表されている。NYと言えばレディー・ガガか、またはビリー・ジョエルか? または、カーディ・Bか? すでに様々な憶測が飛び交っている。
このフリー・コンサートは、ワクチン接種済みの人のエリアと、接種済みではないが検査結果陰性の人たちのエリアが設けられるそうだ。NY州は、ワクチン接種済みの人たちだけが集まるライブなどに使えるように、ワクチン接種を証明するアプリを開発している。すでに100万人以上がダウンロードしている。
NYで1日に1000人亡くなっていた時は本当に震えたけど、思っていたより何もかも早く戻ってくる。アメリカはやると決めたら行動が速い。
ワクチン接種者のみしかライブが観られないということになったらそれはそれでどうかと思うけど、とりわけ現時点では、集団免疫を作るんだという目標に向かって突き進むパワフルさを感じる。
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