失くした形が織り成すメロディ
Mr.Children『祈り~涙の軌道 / End of the day / pieces』
2012年04月18日発売
SINGLE
3年半ぶりのシングルはトリプルA面。“祈り~涙の軌道”は前篇、“pieces”は後篇と、それぞれ映画『僕等がいた』の主題歌。ピアノの繊細な輝きと共に唄われる“祈り~涙の軌道”には大切にしたい存在が確かにあるのに、思春期に少しずつ大人になって変わってしまう自分への葛藤が丁寧かつドラマチックな歌詞とメロディで描かれている。そして“pieces”のほうは、立ち止まれぬ現実を表したような軽快なテンポの中で、だけども何かを失いながらも、ふたりでどうやってパズルを続けていくのかを切々と唄い上げている。どちらもきっと映画とばっちりリンクしている予感がするし、それと同時に、今の日本における「喪失以降」をどう唄っていくのか、にバンドとしてきっちり向き合っている。更に、今年に入って4人で初めてレコーディングされた曲だという“End of the day”におけるバンド・サウンドのエッジの鋭さと躍動感は、全ての人の喪失感を同等のものとして、だからこそどんな人にも明日は来ると、突き抜けたサウンドで鳴らした。4月からのドームツアーでも重要な3曲になりそうだ。(上野三樹)
2012.04.18 09:00