シンズのジェームス・マーサーと、デンジャー・マウスことブライアン・バートンが組んだスペシャル・ユニットの初作品。シンズもナールズ・バークレイも大好きな身としては心待ちにしていたアルバムだ。すでにベックの『モダン・ギルト』で、SSW系の作品においてもブライアンが優れた仕事ぶりを発揮することは分かっていたが、はたして、現シーンきってのソングライターとトラックメイカーの組み合わせは、素晴らしい成果となって結実した。デスキャブのベン・ギバードと、ディンテルのジミー・タンブレロのコンビ＝ポスタル・サーヴィスにも負けないくらい、生音と電子音の理想的な融合ぶりを聴くことができる。

なお、レコードでは全て2人だけで演奏しているそうだが、SXSWに出演した際の様子をNPRのポッドキャストで確認したところ、ライブはギター2本にベースとキーボードをサポートにつけ、ブライアンがドラムを叩く編成で再現しており、これもかなりいい感じだった。

先ごろ故人となってしまったマーク・リンカスと、ブライアンによるダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウルも、正式発売を待ちたい。（鈴木喜之）