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1stアルバム『劇場』以来、約2年ぶりのニューアルバム。全18曲、55分。そのうち10曲はアルバムのための新曲。捨て曲一切なし。渾身の楽曲のみを集約した一枚である。この2年間、「なとり」というアーティストや音楽そのものと誠実に向き合い、自分にとって大切なものをひとつずつ見極めながら着実に歩んできた。その中で得たすべてが、このアルバムの深度につながっている。逆にいえば、その過程で、強烈に憧れたが自分には似合わないと判断して手放したものもある。自分の拙さも歪さも愚かさもそのまま聴き手に見せようと決心した部分もある。そうした歩みを経て、なとりの核心が純度高く表現された18曲で構成されているのが『深海』だ。その核心とは──なとりという名の音楽とは、《消えちゃいたい》(“にわかには信じがたいものです”)という気持ちが抜けないのに《この世から逃げる方法、どこにもないよ》(“ヘルプミーテイクミー”)とわかっているあなたと絶望を共有し、愛をそっとくれるものである。(矢島由佳子)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年3月号より)
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