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キタニタツヤの影響を強く受けていると公言しているなとりとの初コラボ曲。互いの作品でコメントを出し合ったり対談を行うなど、公私ともに関係値のあるふたりによる共作で描かれるのは、人間の本質をえぐり出すようにオルタナティブな輝きをまとったアップチューン。ロックナンバーとしての様相を呈しながらも聴き進めると両者が得意とする陰鬱でダンサブルなビートと独りよがりな心模様が顔を出し、ふたりの歌声と深く絡まり合っていく。TVアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱』のOPテーマとして作品の主人公・緋村剣心が抱える孤独と希望の輪郭をなぞりながら、幸福な今と己の信念、そして未来を天秤にかけて自身を取り巻く環境を《いらないもの》として取捨選択することでたどり着く人間の美しさ、あるいは醜さを浮き彫りにする。人間の泥臭い部分にこそたっぷりと甘い蜜をかけてポップに昇華してしまうふたりだからこそ描ける究極のラブソングであり、自身を鼓舞する最高のエールとしても深く響く。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年12月号より)
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