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花束のような色とりどりの楽曲が揃った『bouquet』から約1年、より研ぎ澄まされたど真ん中J-POPが勢揃いの今作『season』では、巡りゆく季節を共にしたふたりの甘酸っぱくて儚い恋の物語を描いている。この作品のいちばんのポイントは、曲が進むにつれ季節が移り変わりふたりの距離感も少しずつ近づいているところ。恋をすると世界が輝いて見えるような気持ちをキラキラしたサウンドで表現した“脇役スター”から始まり、3曲目の“青い夏”で《咄嗟に出したこの左手に/君は気づかずに別のところ眺めてる/バレないようにポケットに戻した》と煮え切らない初々しい恋心を描く。《「言いたいことがあるの 耳を貸して」》と歌う“告白”では、意を決して想いを伝える場面を丁寧かつ繊細に表し、6曲目“ふゆのうた”で《愛してる》と歌っていることから、ふたりの関係性が“脇役スター”の時とは違っていることが伝わる。4つの季節と共に過ごした思い出と感情をギュッと詰め込んだ一冊のアルバムを見ているような作品だ。(伊五澤紗花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号より)
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