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アートワークからしてもう、思いっ切りロックバンドしてる。タイトルから連想されるナイーブなやつじゃない。硬質でハードでソリッド、どこか危ない香りの漂うやつだ。鳴ってる音も看板に偽り無し、存分に尖り暴れてくれている。出会い頭の一撃は、狂おしいファルセットでエキゾチックなメロディをなぞりながらも、ゴリゴリの8ビートを刻むベースや縦に刻んでいくギターフレーズが高速BPMに躍動する“燁”。猛然たるドラムの連打から突入し、電子音やら掛け合いコーラスやら高速ダンスビートやらが目まぐるしく入り乱れる“延長戦”あたりも実にアグレッシブだ。テンポ抑えめでじっくり歌を聴かせるタイプの曲もあるけれど、あくまで主軸はギター、ベース、ドラムによるバンドサウンドが担っている。そのスタンスは作中で異彩を放つネオソウル調のチルなナンバー“Liquid”でさえブレることがない。ロックバンドの音で、シンガーズハイの音で、やり方で、どんな画だって描き出せるんだという強烈な自負に貫かれた一枚。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年9月号より)
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