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たとえ《映画になんてなんない日々》だとしても、常に大小いろんな出来事は降りかかってくる。しかし時間は止まってはくれず、淡々と流れる日常をやり過ごすしかない──この曲は、そんな毎日のためのオープニングテーマのようで、曲終わりにそのまま自分の物語が始まりそうな前向きな余韻が生まれる。本作では、今年結成10周年のズーカラデルが共同編曲者を迎え、自身初のドラマ主題歌に向けて新しい挑戦をしながらも、《震える足で走れよ》の直後に添えられる《できるだけ》などズーカラデルらしいやさしく寄り添う包容力も健在だ。ただ意表をつかれたのは、曲のラスト。ストリングスの厚みが増す中、声で背中を押すように歌う《震える足で走れ 歩け 泳げ》という歌詞も相まって、さてどんな盛大なアウトロで大団円を迎えるのかと構えていたら、突然幕が閉じるかのごとくパタリと終わる。それこそがまさに《カーテンコールの直後/今まさに始まるプロローグ》のようで、終わらない日々の物語の次なる一歩目をあと押ししてくれる。(成瀬諒花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年9月号より)
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