フジロック→ロッキン1週目→ロッキン2週目→サマソニという、僕の毎年のフェス連続4週間が今年も終わった。フジロックとサマソニは洋楽雑誌編集長として取材とレポをやって、ロッキンはプロデューサーとして現場を走り回ってアーティストのアテンドや前説をやっていた。その合間にホテルで編集作業をやったり原稿を書いたりしてハードな4週間だった。その間にも宮本浩次のインタビューとクリープハイプ尾崎世界観の撮影とインタビュー、そして初登場のブランデー戦記の蓮月にもインタビューした。フェスが終わるとすぐにZOZOマリンスタジアムを終えたELLEGARDENの細美武士へのインタビューもやった(次号をお楽しみに!)。
というわけで今ようやくそれらの取材を終えて、さらに記事の編集も終えて、ぐったりてるところ。あとはこれを書いたら今月は終わりなんだけど、燃え尽きててなんにも出てこない。毎年夏はこうなんだけどね。フェスと取材と原稿書くだけであとはなんにもない1ヶ月。ロクにご飯を食べる時間すらない1ヶ月。でもものすごい充実感に満たされる1ヶ月。頭の中にはこの1ヶ月で目の前で目撃した数々のライブの名場面しかない。
今年の夏の3フェスで感じたのは、若いお客さんが圧倒的に増えたということ。フジロックは年齢高めだけどそれでもこれまでよりも年齢は下がっていたし、ロッキンとサマソニは本当に若い参加者が多かった。コロナでフェスが開催できなかった間ずっと待っててくれた若い世代が一気に新たに参加してくれているのだと思う。これまでだったらそれほどお客さんを集められなかった新人アーティストのステージに多くの若いお客さんが集まっていたのがその印で、若い世代が支持する若手アーティストやバンドの盛り上がりが凄かった。それはサマソニの洋楽のアーティストでも同じで、NewJeansは言うまでもないけどスナッツやノヴァ・ツインズのような初登場の新世代アーティストが予想を超える盛り上がりを見せていた。そして海外のフェスでも同じことが起きていて、世界中のZ世代がフェスを(コロナ禍の時期にはなかった)新たな自分たちのための場として捉えて参加者が急増して、再び大きなフェスブームが起きているのだ。
2年前まで、コロナでもうフェスは再開できないのではないか、再開したとしてももう新しい世代にとっては必要のないものになってしまうのではないか、という不安を抱いた時もあったが、そんなことはなかった。やっぱり音楽の力は凄い。いやむしろ、コロナ禍の間にステイホームでサブスクで音楽の世界にどっぷりハマった世代こそ、本当に音楽が体の隅々まで染み込んでこれからの音楽文化を引っ張っていく人たちなのだという気がする。フェスのステージからアーティストがシンガロングを求めたときに歌詞もメロもしっかりと歌えていた今年の若い観客を観ていて、何度もそう思うことがあった。
このロッキング・オン・ジャパンも、そしてロック・イン・ジャパン・フェスも、これからもますます加速して全力でさらにいいものを作っていこうと思っているので、音楽の新しい時代に向かって一緒に進んでいってもらえたらと思っています。
(山崎洋一郎)
僕のロックの夏を終えて独り言(JAPAN最新号「激刊!山崎」より)
2023.09.09 17:26