今日から公開、レッド・ツェッペリン初の公認ドキュメンタリー映画『レッド・ツェッペリン:ビカミング』。監督に聴いた。ジミー・ペイジにテストされた話から、ジョン・ボーナムの音声発掘など。

──最後に、ジョン・ボーナムの声をメンバーが聴いている時、笑顔になっているのがとても印象的でした。あのシーンの撮影は実際どのようなものだったのでしょうか? ボーナムの声を聴かせる場面を撮るときの雰囲気について教えてください。

バーナード「ジョン・ボーナムの声を聴かせる場面も、映画全体の手法の一部だったんです。つまり、この作品は制作段階から『彼らを50年前の感覚に戻す』ことを目的に設計されていました。

ですから、彼らが話している間、画面には映っていませんが、実際には50年以上目にしていなかったものを手渡したり、見せたりしていたんです。彼らの感情は、こちらが提示するものによって呼び起こされているんです。たとえばジョン・ポール・ジョーンズに当時通っていた教会のことを尋ねたときには、その教会の写真を見せました。その教会は1964年か65年に取り壊されてしまっていて、彼がその場所を目にするのは実に60年ぶりだったんです。

だからこそ、彼らが映画の中であれほど感情を込めて語っているのは、私たちが提示することで“時間旅行”のように当時へ連れ戻されているからなんです。ジョン・ボーナムの声を聴かせた場面が特に感情的なのは、それが彼らのバンド仲間──グループ全体のリズムを担っていた存在──だからです。しかもその音声は出来事からわずか1年後くらいに収録された非常に初期のインタビューで、若き日のジョン・ボーナムが語っている声なんです。

彼らはその声を通じて、若き日のジョンに再び出会い、同時に自分たちがどんな存在だったのかを思い出す。それはまさに、自分たちの原点を呼び覚ます体験なんです」
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