バーナード・マクマホン(以下バーナード)「存在すること自体知りませんでした。でも、絶対見つかると信じていたんです」
──ええ、そうなんですか?!
バーナード「信じていたんです。必ずあると」
──それはすごいですね。
バーナード「実は、ロバート・プラントにも、『バンド自身の言葉で語りたい』と伝えた時、『でもジョンをどうやって入れるんだ? 彼の言葉なんて2文以上聞いたことがないよ』と言っていました。でも私たちは『必ず見つけてみせます』と答えたんです。それ本当に見つけました。
この映画の大きな特徴は、これまでのレッド・ツェッペリン関連の作品とは違い、ファンが一度も耳にしたことのないジョン・ボーナムの声が入っているという点です。これほどしっかりと彼が語るものは前例がありません。さらに言えば、グループの存命メンバーたちも、自分たちの物語について伝記作家などに本格的に語ったことはこれまで一度もなかったんです。つまり、今回が彼らにとって初めての“語り”なんです。
私たちは映画製作に入る段階でそれを理解していましたし、何よりテレビ映画ではなく劇場映画として、きちんとスクリーンで成立する作品を作りたいと考えていました。だから、『彼ら自身の言葉で語ってもらう』ことを重視しました。
ただ、この映画の背景では、175本もの取材インタビューをしています。彼らを知る存命の人々。一緒に学校へ通った人や、共に働いた人、交流のあった人──あらゆる人に話を聞きました。そうした声が、この映画に映し出されるものを大きく形づくっているんです。つまり、メンバーたちの言葉としてどの部分を採用するかは、そうした膨大なインタビューを踏まえて決めていったのです」
アリソン・マクガーティ(以下アリソン)「例えば、バーナードと一緒にウエスト・ミッドランズへ行きました。そこはロバート・プラントとジョン・ボーナムが暮らしていた場所で、今もロバートが住んでいるところです。ロバートは自分の学友たちの電話番号をすべて教えてくれて、私たちはその人たちと何度も会いました。そうして、彼の人生全体を知っている人々と親しくなることができたんです」
バーナード「彼らが通っていた学校にも行きましたし、かつての家を訪ねたり、彼らが通っていたパブで飲んだりもしました。友人たちとも交流しながら、その世界の中で暮らすように過ごしたんです。ロンドンでも同じで、ジミー・ペイジが通っていた学校の仲間たちと時間を共にしました。私たちは、彼が友人たちと一緒にギターを弾いていた居間にも足を運びました。そうやって本当に彼らの世界の中で過ごしたんです。ですから、この映画の中で私たち自身が訪れていない場所は、ほとんどないと思います。スクリーンに登場する場所には、すべて実際に足を運びました」