怒りも悲しみもすべて、なんかちょっと小馬鹿にしているくらいの感じで「遊び」にしたかった
Chilli Beans.というバンドを形容するとき、「ポップ」というワードを外すことはできない。昨年リリースした1stアルバム『Chilli Beans.』は、まさにチリビの現代的でキラキラした多彩な「ポップ」を詰め込んだものだった。
そしてこの12月13日にリリースされる2ndアルバム『Welcome to My Castle』もまた、チリビの「ポップ」が詰め込まれた作品である。ただし、それは1stとは逆サイドに振り切れた「ダークポップ」として。このダイナミックな転換に驚く人も多いのではないかと思う。が、たとえば今年リリースしたEP『for you』にも収録された“aaa”の決してポジティブとは言い切れない複雑な感情表現は、間違いなくチリビという多面体の一面であるのがわかるし、当たり前のように《死んじゃったみたい》と歌う彼女たちの「ポップ」は、ファンタジックでありながら実際、とてもリアルだ。
これまで表に出してこなかったその「ダークサイド」を、この新作アルバムでは存分に表現し尽くしている。憂鬱なもの、苛立たしいもの、神経を逆撫でするような現実さえも、Chilli Beans.はすべて「ポップ」に変換してしまえるバンドであることを、このアルバムは証明している。チリビはなぜ今、「ダーク」を体現するのか。そしてなぜそれが「ポップ」として成立するのか。明確なテーマに貫かれたこの新作について、3人にじっくり語ってもらった。
インタビュー=杉浦美恵 撮影=北岡稔章
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
『ROCKIN'ON JAPAN』1月号のご購入はこちら