2008年「weezer FESTIVAL」へのアジカン出演、アジカン主催フェス「NANO-MUGEN FES. 2011」へのウィーザー出演をはじめ、互いにリスペクトと交流を深めてきたウィーザー&アジカン。
そして、「NANO-MUGEN FES. 2012」や昨年の対バンツアー「ASIAN KUNG-FU GENERATION×FEEDER Tour 2017」を通して、日英シーンの重要な架け橋となったフィーダー&アジカン。
USロック/UKロックのポップとダイナミズムを全身で呼吸し、日本のロックに強烈な推進力を与えてきたアジカンにとっては、まさに必然と呼ぶべきコラボレーションだ。
アルバムの幕開けを飾る“クロックワーク”で聴かせる、ヘヴィなビート感と肌にひりつくギターサウンド。“ダンシングガール”のミディアムテンポのパワフルなリズムと痺れるようなディストーションサウンドが描き出す憂いとポップ。
後藤正文も『ROCKIN’ON JAPAN』1月号のインタビューで「リヴァースの2曲は、もう完全にアジカンの曲になってるからわかんないよね。一番自分がプレッシャー感じたのはそこで。あの2曲と張り合わないといけなかったから」と語っていた通り、アジカンワールドへの理解ととめどない情熱が、アルバムとのタイトな一体感を生み出している(“クロックワーク”にはブッチ・ウォーカーも共作者として参加)。
一方、グラントのファルセットと強靭なドライブ感がフィーダーの音楽世界とのリンクを確かに感じさせるのは、初回生産限定盤の付属CD=『Can’t Sleep EP』に収められた“スリープ”。
アジカンの楽曲に色濃く影響を与えているUKロックのエッセンスが結晶した『Can’t Sleep EP』の中でも、“スリープ”の高純度なロック感と《「繋がっていたいよ」/古びた破片が光った》と初期曲“未来の破片”を彷彿とさせる詞世界は、ひときわ透徹した風景を僕らに見せてくれる。
その他にも、アルバム本編の“UCLA”のボーカルに畳野彩加(Homecomings)が参加していたり、米バークリー音楽大学出身のシンガーソングライター&マルチプレイヤー=チャームによるソロプロジェクト、ザ・チャーム・パーク作曲の“はじまりの季節”(『Can’t Sleep EP』)が収録されていたり……といった具合に、聴き返すごとに実感できる今作『ホームタウン』の複層的な広がりはそのまま、アルバムに触れる僕らの日常の限界や境界線をも無効化し「その先」へとつなげてくれる。そんな生命力に満ちた1枚だ。(高橋智樹)
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