メンバーが出てくると、まず金井政人は最前列のオーディエンスとハイタッチをし、次に遠くまで覗き込む仕草。しっかりみんなの傍にいるよ、という意思表示をしたところで、するするとスクリーンが下りてくる。そして、映し出されたのは1stアルバム『Love and Leave』のジャケット。初っ端は、このアルバムのゾーンということだ。大歓声の中で始まった1曲目は、“the cookie crumbles”。ライヴでやり続けている曲だけに、火を点けるには適役。クラウド・サーフィンに肩車、シンガロング……オーディエンスもぐいぐい飛ばしてくる。メンバーも実に楽しそうだ。さらに“CHAIN”のギターとヴァイオリンのリフの応酬では、何度聴いても興奮せずにはいられないと思う。改めて彼らの礎には、ロックへの純粋な熱情があるのだと確認できた。
スクリーンには3rdアルバム『and yet, it moves~正しい地球の廻し方~』のジャケットが。このアルバムのリリースツアーのファイナルは、ここ赤坂BLITZで行われ、あまりの祝祭感に、BIGMAMAは只者ではないと痛感したんだったなあ……としみじみしていたら、金井も“ダイヤモンドリング”の後に流れを止めて「思い出した」と言っていた。それだけ、節目だったのだと思う。クライマックスが畳み掛けるような展開だけに、まだ中盤にも関わらず、物凄い満足感だ。そんな中で、次にスクリーンに映し出されたのは『?』の文字。文字通り?が浮かぶ会場に向けて、金井が語り出す。「一年で一番居心地がいい日だな!」と笑顔を見せると、これまでシングルやコンセプトアルバムもリリースしてきて、レア曲もあるということ、「初日対策」として3パターンのセットリストを用意してきたこと――そして、それが書かれた3色の紙を取り出し、「カッキー、一番タイプの子を選んで」と、カッキーが選んだオーディエンスにセットリストを決めてもらうことに。するとカッキー、「(自分と同じ)チェックシャツだから」という理由で、まるでお揃いみたいなファッションの女の子を指名。恐縮しきりの彼女に、シャツが赤だからという理由で、「赤でいいよね」と決め込む金井(笑)。そして彼女がタイトルコールしたのは、7thシングル『#DIV/0!』のカップリング“GhostWriter”。さらに、1stシングル『BOYS DON’T FLY』のカップリング“Do you remember?”という懐かしいナンバーも披露されたのだが、ずっと耳に染みついていたからか、いい意味でレア感を覚えなかった。やはり、彼らの楽曲はすこぶるキャッチーなのだ。
アンコールで呼び戻されると、金井は「嬉ションしそうなくらい嬉しい!」と喜びを爆発させる(笑)。そして、「初披露の新曲が、今日でよかったです」と、新曲“Sweet dreams”を披露したのだ。帰りに歌詞の書かれたポストカードを配ること、それは早くみんなで歌いたいからであること……後に「ここにいる人は、どうか幸せになって欲しい。俺はそのために人生をかける」とも言っていた。今、音楽にかけている思いが、新曲で最も伝わるというのは、本当に理想的な姿だと思う。