すると今度は新作からの“Doing It for the Money”が繰り出される。ビートとグルーヴと美メロが交錯する今作の特徴的なサウンドが打ち出されつつ、歌詞的な内容が“Waste”のアンチテーゼとなっている印象を強く伝えているところにとても感銘を受けたし、今作のダイナミズムもよくわからせてくれるものにもなっていた。そのまま、ロックとしてのグルーヴを押し通す2ndからの“Pseudologia Fantastica”へと雪崩れ込む。続く“Are You What You Want to Be?”ではもともとヴァースとブリッジで聴かせていたアフリカン・リズムをことさらにマーク・ポンティアスとアイソム・イニスのダブル・ドラムでよりポリリズミックにアタックをかけていくというかなり攻撃的なパフォーマンスをみせると同時に、序盤から感じていたパフォーマンスの圧倒的な説得力を確信するに至った。基本的にこのまま演目は1st『トーチズ』、『スーパーモデル』、そして『セイクレッド・ハーツ・クラブ』の3枚からの曲を順繰りに提供してはローテーションしていくというものになった。バンドは1stのどこまでもパンク的なエレクトロ・ポップから始まって、2ndのバンド・サウンドへ、そして今作ではヒップホップを前提にしたグルーヴも打ち出すまで深化を遂げてきたわけだが、今現在のこのバンドの持てる最高の水準で全楽曲をたたきつけてくるところがとても痛快だった。実際、各曲の細部に至るまで今回のバンド・アンサンブルはあまりの説得力と豊かな表情に満ちていて、終わってみれば本当に素晴らしいパフォーマンスだったと感銘を受けた。その一方で、どれだけ趣向を凝らした楽曲になったとしても極めつけの聴きやすさとメロディを必ず決めてくるところがたまらない魅力だとあらためて思い知らされた。今回のツアーについてはライブ作品が待たれるところだし、ぜひまた確認したいとも思った。(高見展)
〈SETLIST〉
A Beginner's Guide to Destroying the Moon
Pay The Man
Helena Beat
Life on the Nickel
Waste
Doing It for the Money
Pseudologia Fantastica
Are You What You Want to Be?
Don't Stop (Color On The Walls)
Lotus Eater
Blitzkrieg Bop (Ramones cover)
Coming Of Age
Houdini
Call It What You Want
Harden the Paint
Sit Next to Me
Miss You
(encore)
Pumped Up Kicks
Loyal Like Sid & Nancy