【インタビュー】人生の中で多くの人が見て見ぬふりをしている「本当のこと」をリアルに歌うシンガーソングライター・八生が1stアルバムで描いた現実と後悔

【インタビュー】人生の中で多くの人が見て見ぬふりをしている「本当のこと」をリアルに歌うシンガーソングライター・八生が1stアルバムで描いた現実と後悔

人生は選択の連続。何かを選べば他の選択肢を捨てることになり、結局は「あのとき別の選択をしていたら、どうなっただろう」という後悔を抱えて生きるしかない。多くの人が見て見ぬふりをしている「本当のこと」を歌うシンガーソングライターが登場した。高知出身のシンガーソングライター、八生(やよい)。「後悔」をテーマにした“後悔後を絶たず”は彼女の1stアルバム『ハッピーエンドは未配達』の収録曲。このアルバムは他にも、あまりにも正直な思いを反映した楽曲が揃っている。失恋の喪失感、夢を追うことの残酷さ、周囲の人を楽しませたいという気持ちと、見返してやるというアンビバレントな感情。そんなテーマをポップかつ切実に描き出す八生に、これまでのキャリアと『ハッピーエンドは未配達』について聞いた。インタビュー=森朋之 撮影=小財美香子

人前に立ちたいのに、めちゃくちゃシャイというか。自分でもどっちなのかわからないんですけど(笑)

──八生さんは高知県出身で、現在も高知在住。どんな場所ですか?自然が豊かで、山の幸、海の幸が溢れてて。海や川のレジャーもあって、山でトレッキングとかロッククライミングもできるし、温かい人、陽気な人が多いですね。のんべえも多くて(笑)、オープンで。──めちゃくちゃいいところじゃないですか。そういう場所で育った影響ってあると思いますか?どうなんだろう? 少なからずあるかもしれないけど、それよりも経験や人との関係が人格には影響してるのかなと思いますね。私も陽気なほうだと思うんですけど、ビビってしまうことや陰の部分もいっぱいあって。何かを始める前、たとえばライブの本番前とかすごく緊張して、不安が高まるんですよ。人前に立ちたいのに、めちゃくちゃシャイというか。自分でもどっちなのかわからないんですけど(笑)、そういうアンビバレントなところも歌で表現できたらなと思ってます。──音楽をやろうと決めたきっかけはYUIさんだったとか。はい。『クローズド・ノート』という映画を母と観に行って、エンドロールで流れてたのがYUIさんの“LOVE & TRUTH”だったんです。ストリングスから始まる曲なんですけど、「かっこいい! なんやこの曲!?」と思って。ショッピングモールの中にある映画館だったので、そのままお母さんに「CD買って」「ギター買って」ってお願いしました。小さいときから音楽は好きで、よく歌ったりしてたんですけど、「歌手になりたい」みたいなことを思い始めたのはそれがきっかけですね。

──他にはどんな音楽を聴いてたんですか?母が邦楽好きで、いろんなアーティストのベストアルバムをよくかけてたんです。特にスピッツさんの貝殻がいっぱい写ってるアルバム(ベストアルバム『CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection』)がずっと流れてて、“ヒバリのこころ”がめちゃくちゃ好きでした。父は洋楽のロックとか、あとはバックストリート・ボーイズとかも聴いてましたね。料理の手伝いとかしてるときも、いつもCDデッキから音楽が流れてて。
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ちゃんと曲を書くようになったのは高校生になってからですね。言いたいことが言えないようになってしまって、自分の気持ちを曲にしたいと思うようになって

──いい環境ですね! YUIさんの音楽と出会ったあと、自分で曲を書き始めた?しばらくは見よう見まねでアコギを弾きながら歌ってて。ちゃんと曲を書くようになったのは高校生になってからですね。言いたいことが言えないようになってしまって、自分の気持ちを曲にしたいと思うようになって。地元から少し離れた高校に進学したんですけど、最初は知ってる人が誰もいなくて、しかも女子の比率がめちゃくちゃ高かったんです。ウワサ話が好きな子もいたし、ヒエラルキーみたいなものもあって、「この人に目を付けられたらヤバい」みたいなところもあったり。キラキラしてる感じの子やマウントを取ってくる子もいて、圧倒されちゃったんです。だいぶビビってたし、言いたいことも言えなくて、それを日記に書くようになって。すごく幼稚なことを書いてたんですけどね、今思うと。「あの子、雷に打たれて、いい子に生まれ変わればいいのに」とか(笑)。──(笑)。その日記が歌詞のテーマになった?そうですね。そこからフレーズを取ってきたり、ヒントを得ることもありました。なんて言うか、日記を付けてるだけじゃダメだなと思ったんですよ。自己完結してるだけで成長につながらないというか……。これをなんとか形にしたいと思って、曲を書いてみようと。最初はただ自分の部屋で歌ってただけで、誰にも聴かせてなかったんですけどね。近所の河原で歌うこともあったんですけど、歌詞に個人名が出てきたりするし(笑)、聴かれるとヤバいじゃないですか。──確かに気まずいかも。曲を書いて歌うことで、八生さん自身に変化はあったんですか?曲にすることでスッキリはしてましたね。あと、「私、こんなふうに思ってんだな」って。澱みたいに溜まってたものを曲として出すことで、自分の心の全貌が明らかになるというか、自己理解が進む作業でもありました。高校のときは自分の陰の部分が出ちゃってたけど、あの経験がなかったら人間的な幅が広がらなかったかもしれないし、人の立場に立って考えることもなかったかも。当時はムカつきすぎて、客観的に考えるのは難しかったんですけど(笑)。
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