【インタビュー】数々の苦闘を越え、新体制で走り始めたALI──フロントマン・LEOはなぜ「今がいちばんいいと思う」と語るのか、その歴史と未来を訊く

【インタビュー】数々の苦闘を越え、新体制で走り始めたALI──フロントマン・LEOはなぜ「今がいちばんいいと思う」と語るのか、その歴史と未来を訊く

20年ぐらい経ったら日本のアーティストが海外にどんどん進出して1位とか獲るようになる。俺らはその前にそういう子たちの道を作る第一世代みたいなもの

── 一方、カップリングの2曲でフィーチャーしたアーティストの顔ぶれは、まさにALIのインターナショナルな部分を表しているなと思います。

俺、“LOST IN PARADISE feat. AKLO”が出た時から世界中のアーティストと一緒に作ろうって決めてたんですよ。実際に交渉したり、いろんなリストを作ってコロナ禍中に聴きまくってて、その頃にインドネシア、タイとかのラップが流行り始めてたんですよ。90年代の日本みたいに、海外のワイルドな文化がアジアでようやく火がついてきたというか。だから面白い人も多くて、この“MY LIFE. MY DESTINY”でフィーチャリングしている LAZYLOXYは海外のラップスター誕生みたいな番組から出てきた子で、1億再生超えの動画とか10本くらい持ってるんですよ。

──タイ語のラップの響きがまた面白いですよね。

一瞬でタイに行けますよね(笑)。海外のアーティストとやる時は、その国に行って感じたものを素直に書いて、自分の好きな音楽を信じてやってます。迎合してないし、いちばんピュアな部分が多い気がします。だってタイ語と英語しかないのに日本で出してるんですよ(笑)。

──確かに(笑)。

でもそういうことをやっていく使命なのかなと思うんですよ、きっと。たぶん20年ぐらい経ったら日本のアーティストが海外にどんどん進出して1位とか獲るようになるから、俺らはその前にそういう子たちの道を作る第一世代みたいなものじゃないですか。韓国だってBTSの10年前からたくさんの挑戦があったうえでの今の成功だから、俺らはその初めにあたるんじゃないかな。そういう意味で、20年後に聴いてもフレッシュなものをかましたいんですよね。

──かつ、感性に素直なものを。ということですね。

そう。遠くに行きたければ行きたいほど、自分の内側に問いかけなきゃいけないなって思いますね。

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メンバーが捕まった時もALIが俺ひとりになった時もいつも思うのは、まだやりたいことの10分の1も曲出してないぞっていうこと

──“NEON feat. The Crane”もいいですよね。こういう引き出しもあるんだなって。

ディスコとシティポップ、ポストロックというかね。

──インディーな感じだけど、メロディは少し哀愁があるところに日本らしさも感じます。

うんうん。あとはUKガラージな感じ。台湾って、めっちゃブルージーで沖縄っぽいんですよ。沖縄って島唄のブルースがあるじゃないですか。台湾はより土着的じゃないフォーキーな曲がめっちゃフィットするんですよ。そこにアジアのブルースを感じて、こういう旋律が導かれたんですよね。

──The Craneさんとはどういう出会いだったんでしょう?

台北によく行くんですけど、そこで出会った台湾の俳優だとかモデルだとかのチームがみんなすごく親切で。その時にThe Craneを紹介してもらって出会ったのがきっかけです。その前からこの曲のプロット自体はできてたんですけど、最終的にThe Craneがはまってくれました。

──海外に出て行きたいからどんどん現地に出向いて、そこで気に入った人たちと一緒にやる。言ってしまえばごくシンプルな行動原理ですよね。

そうそう、すごくシンプルです。売れたいからやってるんじゃなくて、本当に自然。もちろん、売れたいと思ってないとアクションまでいかないと思うんで、そこは細胞に染みついてるんですけど、今はもう「会いたい」とか、「一緒にやってみたい」とか、そういう気持ちが強いですね。

── 一方で、タイアップソングではキラーチューンをバシッと決めてきますね。

売れるか売れないかは、運といろんな組み合わせと実力もあるんですけど、映画の音楽とかアニメのテーマをもらうのは大好きなんですよ。作品に対して全力でインスピレーションを求めて、感じたものを出せばいいので「こうすれば売れる」ってことを考えなくていいから。けど、こうやってタイアップが重なると、ノンタイアップの超ピュアなアルバムも作りたいモードに入っていくので、今はすごく乾いてきていい感じです。メンバーが捕まった時もALIが俺ひとりになった時もいつも思うのは、まだやりたいことの10分の1も曲出してないぞっていうことなので。でも疲れてきたりしても仕事できちゃう年なんですよ、37歳って(笑)。そこで去年は結構悩みましたね。

──やろうと思えばルーティーン的にこなせちゃったりしますよね。

そう、できちゃう。今までだったらすごく汗かいてぶつかって辿り着いてたものが、経験を積むことでできるようになってしまってる。そうすると、汗をかいてないから心配になるんですよ。俺は果たしてちゃんとやれてるのか? サボってないか?みたいな。でも今はそういったことを全部取っ払って、経験としてできるものはあるうえで油断せずに自分に向き合って、ちゃんと一歩ずつ前に進もうとしてるかとか、そういうことがわかるようになってきましたね。

──すごくいい状況ですね。

うん。俺も今がいちばんいいと思う。かっこいいし、モテるし(笑)。遅咲きかもしれないけど、俺の人生は今がめっちゃ幸せですね。

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