【インタビュー】数々の苦闘を越え、新体制で走り始めたALI──フロントマン・LEOはなぜ「今がいちばんいいと思う」と語るのか、その歴史と未来を訊く

【インタビュー】数々の苦闘を越え、新体制で走り始めたALI──フロントマン・LEOはなぜ「今がいちばんいいと思う」と語るのか、その歴史と未来を訊く
昨年10月にフロントマン・LEOのソロプロジェクト体制へと移行したALI。もともと正規メンバーの他に多くのサポートメンバーがレコーディングに参加したり、ライブのステージに上がるスタイルではあったものの、一体どんな感じになるのか?と思い年末のライブを観たら、全然変わっていなかった。今まで通り華やかでスタイリッシュで、音楽愛を真っ向からぶつけてくる姿がそこにあった。

その直後のタイミングで行った本インタビューでは、最新シングルの表題曲“CASANOVA POSSE”とそのカップリングについて触れるとともに、LEOがこれまでどのような想いと姿勢でALIを動かしてきたのか、ALIとは彼にとってどんな存在なのか、そしてこれからのALIが何を目指していくのか、根本的かつ核心的な部分について思いっきり語ってもらう。

インタビュー=風間大洋 


俺の考えがALIを作ってると思って結成からやってきたけど、ある時ALIのほうから求めることが出てきて、俺をコントロールしてると感じるようになった

──現体制になってのライブを観て、いい意味で別に変わりはないなという印象を受けました。

お! その通りなんです。変わらないんですよ、実際。ただ、2025年はきっと変わります。今作でも弾いてくれてますけど、(ベーシストの)TOKIEさんも入ってくるので。

──それは音の部分も見え方も変わりそうですね。……いや、ALIとしての見え方に関してはそれでも変わらないのかも。

うん、ALIを俺のソロとは思ってないんですよ。俺がソロになったらもっと原始的なものになる。ALIを消さないために俺はひとりで責任を背負うし、ALIというチームが求めてることを俺がリーダーとしてやる。『HUNTER×HUNTER』で例えると幻影旅団みたいなもんですよ(笑)。

──ソロの形にはなったけど、LEOさんの名前にはしなかった。ALIの表札を下げずにやることに対する迷いはなかったんですか?

全然ないです。今年BE:FIRSTの番組でMCをやらせてもらった時、向井秀徳さんや堂本剛さん、SKY-HIとかいろんなゲストの人とお会いしたのが面白くて。みんなすごく変わってるじゃないですか。しかもめちゃくちゃいい人なんですよ。その時に、芸術とか表現の世界で生き抜くには、人間としてしっかりして、なおかつ本当に個性を持った作品を作る魂と、狂気的に命を捧げる状態がないと生き残れないんだなと思ったんです。だからメンバーに色々あっても、俺も一緒に落ち込んで這いつくばっていたんじゃALIという船が沈むから、それはちょっとできないなって。苦しむのが仕事な気もするし、バンドなりプロジェクトの名前で動いてる時はその責任がないとダメっすよね。

──個人名義だとしたら違うものになると言ってましたけど、裏を返せばALIの表現とはこういうものという意識は明確にあるんですか。

「これをすれば正解なんです」っていうのはないんですけど、ないところがいいのもあって。ALIは自分自身だし俺の考えがALIを作ってると思って結成からやってきたけど、ある時ALIのほうから求めることが出てきて、俺をコントロールしてると感じるようになったんです。俺のスタイリストとかデザイナーとかも含めアーティストみたいな人ばっかりだから、マネージャーはめちゃくちゃ気を遣うし大変なんですけど(笑)、そういうのが面白い。真剣に生きてきた最先端をぶつけてくる人が集まってるから、うまくいく時もあればいかない時もあるけど、それがALIなのかなって。そうなるとやっぱり自ずと恥ずかしいことはできない。常に挑戦、勝負することが大事で、お互いかっこいいものを作ってまずは身内を打ちのめしていきたいというか。

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世界に行ったからこそ、僕は半径10m以内の人をもっと幸せにしたくて、もっとこの日本や東京というものにフォーカスしたい

──僕がALIの曲やライブを観て感じるのは、今の音楽シーンで足りない要素がALIには結構あるなっていうことなんですよ。

嬉しいなぁ!

──言語化は難しいですけど、華やかさとか色気、ちょっとワルさみたいな。

それ、大事ですよね。

──見せたいもの、見せたい姿については、今どういうふうに考えてますか?

まず、2024年は毎月のように海外のいろんなところに行けたんですよ。東京は世界の中で上でも下でもなく俺らはどこへでも自在に行けるはずだから、そういうバンドをやりたいっていう俺の夢がやっと叶い始めて。そんな中である韓国のフェスに参加した時、日本のアーティストも多くいた中で俺らはダークホースとしてやって、掲示板の中でいちばんを取ったんです。本当に音楽がよければ何か変化が起きるはずだと思って続けてきたことが明らかに結果として出たし、ロラパルーザに遊びに行って8万人くらい入るメイン会場でいろんなアーティストを観て、落ち込むかと思ってたんですけど逆に自信しかなかった。ALIは音楽的に洋楽みたいなところも多いかもしれないけど、ステージングに関しては日本のフェス文化とかノリ方をすごく吸収しながらやってきた結果がだんだん出てきたので、これはある種の自信を持っていいんじゃないかって思いましたね。……なおかつ海外は女性が強いんですよね。俺は日本の女性ってすげえかっこいいし、きれいだし、技術もすごいと思うから、それをALIとして世界中に見せたいのもあります。だからいちばん尊敬するベーシストのTOKIEさんに“CASANOVA POSSE”もやってもらったんですよ。

──なるほど。

っていうことと、僕個人としては今まで自分の好きな美学をかっこつけてやってたんですけど、2024年は番組や映画に出させてもらったりして自然力を鍛える場面がいっぱいあったから、2025年はよりナチュラルにいたいなと思って。だから今のアー写では笑っているし、今こうやって話してるかのようにナチュラルに日本の人に問いかけていきたい。世界に行ったからこそ、僕は半径10m以内の人をもっと幸せにしたくて、もっとこの日本や東京というものにフォーカスしたいんです。

──その一発目として、CDとしては現体制初のリリースとなるのが今回の表題曲“CASANOVA POSSE”ですね。

今までは3人でミックスしてたのを、今作はひとりでミックスとマスタリングまで全部やり切りました。でも、ソロになったからどうこうというのはあんまり気にしなくていいよって伝えたいです。なぜなら今までも俺がひとりでやってきた自負もあるから。ソニーの偉い人と嫁が3~4年前に「ALIがいちばん売れる瞬間はひとりになった時だと思う」って言ってたんですよ。ふたりは夢を叶えるのがどんだけ大変なことかを知ってるから厳しいことも言うけど、俺はバンドが好きだったので「俺は人間を信じてるし、技術よりも人間力があるほうがバンドって面白いと思う」みたいに言ってたんです。結局ひとりにはなっちゃったけど、正直俺ひとりでもガッカリさせることないクオリティでALIをできると思ったから、新メンバーを入れずにやります。そこに関しては本当に楽しみにしてほしいなって思ってます。


──制作面で感じた変化はありますか?

歌詞は少し変わりましたね。“CASANOVA POSSE”は初めての日本語のタイアップ曲で、フィーチャリングがないんですよ。海外に行くなら絶対に英語のほうがいいと思って今までずっと英語の歌詞で作ってきたんですけど、次は日本語でヒットさせたいフェーズにきたので、真剣に自分と向き合って書きました。これはひとりになることが既に決まっていた時に書いた最新の言葉なので、なんか好きですね。

──ALIの精神性みたいな部分がそのまま出てる気がします。《欲しいモノは 「今」/笑って抗え》と《叫んで抗え》ってところが特にいいですよね。

ここは時間かかった……(笑)。これはまさにさっき話してた自分と向き合った最新の気持ちでしたね。

──シンプルですけど、言ってほしいことだし、言いたいことなんだろうなって。

そうですね、マジでそうかも。本当にメンバー辞めてひとりで何をやろう?って考えてた時に書いた曲です。なんか、改めて音楽っていいなって思って。俺は普遍的な音楽が好きだからいろんなジャンルを横断して、ラテンやったりディスコやったりジャズやったり、順繰りにやってるんですけど。また戻ってきた時にそれが古く感じないというか。古典っていつでもフレッシュだし革新する余地もあるなって思います。

──“CASANOVA POSSE”もベースはジャズですね。

今回のアニメの話自体が世界中を旅して最終的に月に行く話だから、いろんな国のジャズの歴史を全部聴き直して好きなフレーズとかをちりばめて。ひとつの曲の中でジャズワールド一周みたいな、その発想も日本らしくていいなと。アニメとかを通して世界が日本語を受け入れ始めたのもあるから、今は恥ずかしくなくJ-POP的なものも愛せるというか。そこをうまくやれたなと思いますね。

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