──大地くんの “陽光 ”はどうやって作ったんですか?自分のことの歌詞を書きたいなと思った。地元の長野だったり、八王子だったり、今住んでいる場所だったり(関)
関 結構メロとかまでしっかりつけて持ってった曲が別にあって。それがもうちょっとどうにかなんないかなみたいになってた時に、もう一個なんとなくインストで作った曲があって。その曲聴いてもらったら「こっちのほうがよくね」みたいになって。アルペジオから始まる曲なんですけど。もう一個のほうはメロとかちゃんと考えて作ってた。
──感覚的に作ったほうが採用されて。
関 そうっすね。もうひとつはドラムとかもめちゃくちゃ細かく打ち込んで作ったんですけど、“陽光”はスネア一発だけのオケがあって、そこにあとからメロディをのせるってなって。僕、ポエトリーリーディング結構好きで、そういうのが俺っぽいから入れたらどうみたいな提案ももらって。Bメロのところはメロ乗せるよりもポエトリーとか合いそうだなって思って。
橋本 最初はそこがポエトリーすぎたんで、電話っていう体にしちゃおうみたいにして。でもサビとかも俺がつけないようなメロディだし、すげえいいなあと思った。
──すごくいい曲だし、キャッチーだよね。僕はハルカミライって大地くんが入って、キャッチーなバンドになった気がする。
一同 ああー。
須藤 確かにそうかも。
小松 ライブのキャラ感とかも。
──この曲もハルカミライっぽさをわかりやすく象徴してる大地くんの存在そのものという。
関 なんか自分のことの歌詞を書きたいなと思ってたんです。地元の長野だったり、八王子だったり、今住んでいる場所だったり、そういうのを混ぜたりしてる感じです。
──学くんの曲は、いつも通りいっぱい入ってるけど。
橋本 立ち位置的には“ラストベット”がそれにあたる曲で。
──いつもの、自分で詞曲を書くハルカミライの曲とはどう違った?
橋本 もともとヒップホップ好きなんですけど、それをこのバンドでやりすぎると消化しきれない部分があると思ってて。でもメロウなフロウがたくさんあるやつだったらすげえ合うなって思ってて。大地の曲とも共通するんだけど、これは今の自分とかをちゃんと書いたほうがいいなあって思って。例えば2番の《21》から始まるところは俺のタトゥーの話になってて。タトゥー入れた順番に歌詞を書いていった。俺らの見てくれ、風貌を知らない人からしたら「なんじゃ?」ってなるんすけど、いつか気づいた時にいいなあって思ってくれるかなみたいな。自分の中のモヤモヤとか葛藤を書きましたね。いちばん最後の《仲間に向けるときゃグッド》からの口上はもうライブで喋ってたんですよ。「これいつか使いたいな」と思ってたのを、ある日のライブで全曲が終わって、俺だけステージ残ってこれを言い放って帰る、みたいな。それでライブを観た人がこのアルバム聴いて、その日の記憶に結びついたらいいなっていうので入れ込みました。
──これって学くんのハルカミライというバンドの中での役割の独特さを表してる気がする。普通のバンドのフロントマンと違うよね。
須藤 俺は学には、どっちかっていうとバンドマンのボーカリストというよりもシンガーでいてほしい。ボーカルっていうと全体的になんでもやってるって感じじゃないですか。もともとそういう人じゃないんですけど。
──その人しか持ってない宝物みたいなものが歌にも言葉にもあるよね。
須藤 あ、そうです。それをいいと思ったのは最近ですね。「もうちょっとなんとかみたいに」とか昔は、よくそういうケンカしたりしてたすけど、最近は、それが武器だと思って。
──そういう4人のキャラクターあってのハルカミライも含めて一曲一曲ドキュメントのように作られたアルバムなんだけど、ハルカミライのど真ん中なアルバムになってるのは“さらば”で始まって“僕たちの悲しみはどこへ行く”で終わるのが大きい気がします。“僕たちの悲しみはどこへ行く”は脳みその中のモヤモヤしてる感じとかグシャグシャしてる感じをきれいに熱量ある形で出したかった(橋本)
須藤 この2曲はもう最後ワンツーでできて。どっちもすごい適当に作ったつもりだったのがよかったっす。
橋本 “さらば ”なんかレコーディング超ギリギリだったもんね。“僕たちの悲しみはどこへ行く”は、脳みその中のモヤモヤしてるとことか、グシャグシャしてるとことかをきれいに書きたかった自分もいたけど、それをこの熱量のまま出したかった。すごくライブ感とかも意識して歌ったりしましたね。汚くていいというか。
──アルバムタイトルもここからきてますよね。
橋本 俊に「これってどっかから引用してきたの?」って言われて「俺、考えたよ」って言ったら、じゃあこれアルバムタイトルにしようみたいな。
須藤 今のこの辺の界隈の感じにちょうどいいかなと思って。
──この辺の界隈って?
須藤 一発アウト系の、一個ミスったら晒されてとかいろいろあるじゃないですか。「いちばん下まで落ちても、このカスみたいなのをちょびっと持ってれば大丈夫だぜ」っていう意味でもあるし。普通にそうじゃなくても社会人として限界なやつもいるかもしれない。それをタイトルで言っちゃおうって。これを普通に「鼻くそってww」とか言ってるやつはガキっすね。大した経験してないクソガキ。死ぬくらい辛い経験してからもう一回やり直して読み直せって。クソガキっていうのは年齢じゃなくて、40代でも50代でもそう思う人はクソガキ。もうここの見出しに須藤って書いといてください(笑)。
橋本 ちゃんと自分で背負うんだ(笑)。
須藤 俺にアンチがくるから(笑)。
橋本 ほんとに何このタイトル、って言っちゃうのってナンセンスだと思う。
──このアルバムができて、これからハルカミライはどうなっていくんでしょう。ハルカミライってどこにもいないバンドじゃないですか。今の時代とかけ離れてる部分もあるけど今の時代にいる意味もすごくある。そんな特殊なバンドとしてどうなっていきたい?
須藤 めっちゃデカく言うと、もっと売れたいっす。閉鎖的にやってきたところもあったんですけど、今まで嫌ってたものにもチャレンジして間口を広げて。そのうえで必要なものといらないものを見極めて、必要なものを残しながらまた広げてやっていきたいですね。狭いままここまで上がって来て、武道館まで充分やってきたと思ってて。それで作ったアルバムがこれで、作る曲も変わると思う。この歳で言うのもなんだけど、今までやってなかったことにチャレンジする(笑)。
ハルカミライは1月30日発売『ROCKIN'ON JAPAN』3月号にも登場!
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