LINE CUBE SHIBUYAで約9年ぶりの復活ライブを行った
plenty。かけがえのないplentyらしさはそのままに、でもどこかタフになった歌とサウンドと存在感がしっかりと感じられるライブだった。
本編の最後に歌われた新曲“ってかさあ”がそんな今のplentyを鮮明に表している。何も変わらない日々、動かしようのない世界、それを受け入れることへの抵抗と諦め──そんな身も蓋も出口もない思いを美しい炎のような音楽として奏でるのがplentyで、それはこの曲でも貫かれているが、「ってかさあ」という言葉が歌詞の出口に置かれていることがこれまでとは違う救いと解放の予感を曲に与えている。そして、plentyは変わらない、でも進んでいく、という今の心情もそこには重ねられているのだと思う。
江沼郁弥にこの曲が生まれたいきさつを聞いた。
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=ヨシハラミズホ
今回のライブでブランクを感じさせないっていうのと、野音のライブを超えるっていうのは合格点かな
──昨日の再始動ライブ、本当に素晴らしかったです。ありがとうございます。
──どうでしたか? 久しぶりにああいう形でライブをやって。とりあえず終わって、今は、ほっとした感じですね。やっぱりプレッシャーは感じてたので。細かい課題が見つかったのもよかったし、自分で設けてたハードルは一応合格点かなって。ブランクを感じさせないっていうのと、何を基準にって話になっちゃうけど、野音のライブを超えるっていうのもあって。それは合格点という感じです。
──どこでそういう手応えを感じた?前のplentyって、序破急みたいな、ワンパターンがあって。そうじゃなくて、山が最初にあったり、いろんな展開やムードが1回のコンサートの中で出てくる、そのカラーがやりたかったから。定型からの脱出というか、お客さんが、うおおーってなるまでの労力を超えたい、すぐ爆発したいっていうのができてたり、もっとできそうだったりとか。それがよかったかな。
──そこ、確かに変わったね。うん。別に前が悪いっていうんじゃなくて、入り口が狭い感じがあって、だからフェスで勝ち切れないっていう。そういう悔いじゃないけど、なんかもっとないかな?っていうところにチャレンジしていけたのがよかったです。
──約9年の時間を経て、過去の楽曲に対して一回距離を置いて見直すプロセスがあったからとも思ったけどね。前は、「この曲はこういうムードで歌いたいんだ!」が強かったけど、今はもっと冷静な、「これを前半戦にやったらここのムードがよくなるんじゃない?」って視点も出てきたので。そういう自分のテクニックっていうか、セットリストとか演奏のテンションの持っていき方とかは、細かくやっていきました。
──でもそうは言っても、やっぱりplentyの良さは、その時の正直な生々しさであって。テクニック的な裏打ちがあったうえで、同時に、初めてぶつかるような生々しさを出していくことが、今後のplentyのテーマかもしれないね。そうですね。作り物っぽくなりすぎるのも危険なんですよね。余裕出すぎちゃって、あぁ、全部嘘なんだなぁみたいな、それも魅力的じゃないから。ただ、ちゃんと考えながらやるっていうのはありますけどね。前は、そういうことを考えないで、突き進んできたから。だから、そうじゃなくね。
──メンバーのライブ後の空気はどうでした?まぁまぁ緊張しつつ。でもメンバーが、ワンツアーとかじゃなくて、1本のライブの中で楽しむってところまで持っていけたのがよかったかな。前だと、お客さんも自分たちも緊張感の中にいたけど、基本的な、ライブ中に楽しくなってくるってところに行けてたみたいだから、それが新しいかな。ライブが終わったあと、新田(紀彰/B)からも新しい感想があって。「楽しかった」って。「思い出作りって意味じゃねえだろうな」みたいな。「違うよ」、「それならいい」とか言って(笑)。
──ははははは。でも、plentyの本質は、なんにも変わってなかったね。変えていきたいとは思ってたんですけど、plentyというものの核心を根底から覆して新しいものをやろうっていうんじゃないんですよね。そこを変えずに、もっと貫き方を変える、それをやっていくのが、新生plentyというか。
生きるって激シブじゃないですか。劇的なことなんてないって歌を歌いたかった。それが生きるってことだろって
──それが純度100%に出ているのが、今回の新曲“ってかさあ”だよね。すごいいい曲だなと思ったのと同時に、何も変わってなくて、突き進んでるなっていうのがあって。驚きの変わらなさ(笑)。
──何がしかの変化を見せたり、plentyのひとつのいい部分をよりよく見せますみたいなものではなく、plentyのまま前進してるのがすごいなって。これがplentyっていう概念、みたいな。こういうことかぁっていう感じはしましたね。
──歌詞が徹底的にものすごくリアルだし、テーマがやばいなと思った。ごまかすしかない人生っていうのを、まったくごまかさずに描いている。plentyとして曲を作ろう、過去の曲をやろうっていうことになって、一通りやっていくじゃないですか。約10年経ってて、それなりに作曲のテクニックとかは自分なりにもできてるから、そういうものでやろうと思うけど、ごまかしがきかないんですよね。歌詞のテクニックとか入れたりすると、ダメなんですよね、嘘っぽくて。plentyにだけ通用しない、そういうものがあるから。自分の中でチューニングを合わせるのが大変でしたね。plenty流のエンタメというか、ごまかしのきかなさ、嘘ついたらバレるフォーマットがあって、plenty、めんどくさいなーって(笑)。