以下、本記事冒頭より。
スタンリー・キューブリックの映画『フルメタル・ジャケット』をDVDで初めて観たときの衝撃が忘れられない。エンドロールで流れたのは、ザ・ローリング・ストーンズ“黒くぬれ!”。それは「聴いたことのない音楽」そのものだった。疾走するバンド演奏、攻撃的なボーカルなど、ロックンロール的な興奮はたしかにある。だが、音階も、鳴っている楽器も、聴き慣れたロックのそれとはまったく違う。アジア的な感覚はありながら、中期ビートルズのインド趣味とも明らかに違う。そこにあるのはエキゾチシズムではなく、得体の知れない粗野で攻撃的なフィーリングだ。日本のロックやJ-POP、ザ・ビートルズやニルヴァーナを入り口に、そこそこロック音楽を聴いてきたつもりの中学生にとっても、あまりに新鮮な体験だった。呆然としたままクレジットを調べると、まさかのザ・ローリング・ストーンズ。“サティスファクション”や“ジャンピン・ジャック・フラッシュ”のイメージとはまったくの別物じゃないか。さらに1966年の曲だと知って、時空が歪むような感覚にも襲われた。浦沢直樹による漫画『20世紀少年』に出てくる「昔の音楽」だったはずのバンドが、「未来」として目の前に現れた瞬間だ。「いったいこれは、何なんだ?」(照沼健太)(以下、本誌記事へ続く)
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