pic by NIMRODS グリーン・デイが、キャリア30年以上にわたる未公開映像などを24時間配信するYouTube チャンネル、「Green Day TV」を開設した。すでに配信は始まっている。
GREEN DAY TV
早速観てみたけど、なんか面白い。もちろん超貴重な映像なのだけど、かつてMTVを夜中に観ていた時のような感覚もあり、映像が粗かったりするのも含めて、いい感じのゆるさもあるのだ。
番組では、ミュージックビデオやライブ映像に加え、レコーディング風景、ツアー、舞台裏など、30年以上にわたる未公開アーカイブ映像も配信される。
さらに、新人のアーティストを紹介する『Transmission Unknown』という週1回のバラエティ番組も放送される。司会はトレ・クールで、ライブパフォーマンスほか、コメディなどもやったりするそう。
グリーン・デイはこれまでも衛星ラジオの番組で、レアなグリーン・デイの音源や自分たちのお気に入りの曲などをかけていたそうだが、今回はそれを、どんなファンにも直接届けられるYouTubeでのTVという形に拡大したということ。
⚫︎映画『Nimrods』アメリカ公開&サントラ発売
pic by NIMRODSグリーン・デイが下積み時代、バンで各地を回っていた頃の実体験をもとにした青春コメディ/ロードムービー『Nimrods』が、8月14日に全米公開される。
こちら予告編。
この作品は、昨年のトロント映画祭で世界プレミアされ、私もその時に観た。
pic by AKEMI NAKAMURA内容は、大晦日に自分たちのバンド、アナログ・ドッグがグリーン・デイの前座を務めるのだと勘違いした3人の友人が、LAを目指して旅に出るというもの。彼らのロードトリップは、カンザスシティからLAまで横断する珍道中となるのだけど、その物語は、グリーン・デイがバンで生活しながら、各地を回っていた下積み時代の数々のドラマをもとにしている。結果、彼らのファンなら分かると思うけど、時におバカで、時に笑えて、時に泣けるロックンロールストーリー。しかも、冷静に考えたらあり得ない夢を、彼らが心から信じているところにも共感できる物語だ。
今作が面白いのは、バンドの伝記映画が数々ある昨今、彼らがここで、自分たちの体験をもとにしながらも、あくまでフィクションに挑んだことだ。
すでにオリジナルのサントラも発売されている。
以下のトラックリストを見ても分かるように、映画ではグリーン・デイの代表曲が次々に流れるほか、グリーン・デイ本人たちが登場してパフォーマンスする場面もあるので、ライブ音源も収録されている。
さらに主人公たちのバンド、アナログ・ドッグの曲も収録。これはオリジナルで、ビリー・ジョー・アームストロングの息子でミュージシャンでもあるジェイコブが書いた曲だ。また、トラックリストにあるマッケナ・グレイスは、 彼らが珍道中の最中で出会う女性バンドのボーカリスト、オリビア役を演じている。
pic by NIMRODSUltra Qは、ジェイコブが実際に所属するバンド。さらに、グリーン・デイの新曲“I’m Never Gonna R.I.P."も収録されており、こちらもすでに公開されている。
こちら。
サントラのトラックリスト
Green Day – ‘Welcome To Paradise’
Green Day – ‘Longview’
Green Day – ‘In The End’
Analog Dogs – ‘Bored’
Green Day – ‘When I Come Around’
Green Day – ‘Walking Contradiction’
Green Day – ‘Dilemma’
Green Day – ‘Waiting’
Green Day – ‘Geek Stink Breath’
Green Day – ‘Bab’s Uvula Who?’
Green Day – ‘Panic Song’
Green Day – ‘Basket Case’
Green Day – ‘Hitchin’ A Ride’
Analog Dogs – ‘Dominated Love Slave’
Green Day – ‘Haushinka’
Green Day – ‘Bobby Sox’
The Paradox – ‘Ms. Lauren’
Mckenna Grace – ‘It’s So Fine’
Analog Dogs – ‘Getaway’
Analog Dogs – ‘Freaking Out’
Ultra Q – ‘Cold’
Green Day – ‘Last Night On Earth’
Green Day – ‘Brain Stew’
Green Day – ‘Wake Me Up When September Ends’
Green Day – ‘Corvette Summer’
Green Day – ‘Know Your Enemy’ (live)
Ramones – ‘Blitzkrieg Bop’
Green Day – ‘American Idiot’ (live)
Green Day – ‘Auld Lang Syne’ (live)
Green Day – ‘Good Riddance (Time Of Your Life)’
Green Day – ‘I’m Never Gonna R.I.P.’
映画公開に合わせて、グリーン・デイがメディアのインタビューに答えている。伝記映画ではなく、フィクションにした理由や、今年のスーパーボウルに出演した際、あえて政治的なコメントをしなかった理由についても語っている。アルバム完成時のインタビューでないだけに、W杯についてなど、いつもより肩の力が抜けた貴重な発言があるように思う。
⚫︎これまで映画出演や伝記映画制作のオファーはたくさんきていたのではないかと思いますが、今回は非常にグリーン・デイらしい作品になりましたね。ビリー・ジョー「うん。俺たちは、いわゆる伝記映画みたいなものはやりたくなかったんだ。そういうのはあまりにたくさん作られてきたから。だから何か違うことをやりたかった。たとえば『ロックンロール・ハイスクール』とか『200 Cigarettes』みたいな作品。つまり、実際の登場人物たちを追っていくような映画にしたかったんだ」
⚫︎映画のインスピレーションについて。
pic by NIMRODSビリー・ジョー「グリーン・デイの映画を作るなら、大晦日の俺たちのライヴを観に来る若者たちの話にしたい、というアイデアがあったんだ。俺は、『200 Cigarettes』という映画が大好きで、あの作品はサウンドトラックも最高なんだよね。だから、まずはそれが基本的なアイデアだった。
そこから、主人公たち自身もバンドをやっているという設定になって、“この若い連中をどうやってロサンゼルスのパラディアムでやる俺たちのライブまでたどり着かせるか?”という話になっていった。
それでリー(・カーク監督)が脚本を書き始めて、いろいろなアイデアを出してくれた。俺も彼と意見をやり取りしながら、一緒にストーリーを作っていったんだ。
でも実際のところ、中心になって作ってくれたのは彼だった。俺たちの昔の話や、それまで彼がすでに知っていたエピソードについてもっと詳しく知りたいと言って、それを脚本に落とし込んでいったんだ」
マイク・ダーント「ネタバレにならない範囲で言うと、この映画には、俺たちが実際に経験した出来事をゆるく元にした“イースターエッグ”がたくさん入っているんだ。グリーン・デイの歴史をよく知っているファンなら、“ああ、これはあの話だ”と気づくものがたくさんあると思う。でも知らない人にとっても、実は映画の中のかなりの部分が実話をベースにしていると知ったら、面白いんじゃないかな」
トレ・クール「特に、一番変な話こそ、一番本当なんだよ」
マイク「そう、本当にそう(笑)。そこが、この映画の楽しいところでもある。
もうひとつ大きかったのは、俺たちがそれぞれの昔話を持ち寄ったこと。ビリーはいつもリーと話をしていたし、当時の俺たちがどういう人間だったのか、どんな精神でやっていたのかを、できる限り彼に伝えようとした。
そうすることで、リーもこの映画が持つべき精神から離れずにいられたんだと思う。そして彼は、それを見事に捉えてくれたよ」
pic by NIMRODS ⚫︎ビリー・ジョーと息子さんとの共演について。
pic by NIMRODSビリー・ジョー「うん。彼は映画のために何曲か書いたし、劇中のバンドのためにも曲を書いた。それから、マッケナのバンドでは、音楽ディレクターみたいな役割もしていたんだ。
それで、彼自身もちょっとしたカメオ出演をしている。それから、リーの息子のウェストンも出ているよ。彼はものすごく上手いドラマーで、映画の中でもバンドのドラマーを演じている。
本当に良かったよ。ジェイコブはすごく優れたミュージシャンだし、曲も書ける。本当にいいソングライターだからね。だから今回、少しだけど一緒にコラボレーションできたのはすごく良かった。
これまでも一緒にやったことはあるんだ。彼のレコーディングを手伝ったこともある。高校生の頃までさかのぼるけど、彼のバンド、Eddieのレコーディングも俺がやった。
それから『Survivor』のために“Heroes”という曲を一緒にやったこともある。でも、あの曲はテレビ番組そのものよりずっと良かったと思うけどね(笑)。プロデュースも含めて全部彼がやったんだ。俺はただ歌っただけ。演奏も全部彼のバンドがやっているだから、本当に才能があるよ」
⚫︎今年のスーパーボウルでのパフォーマンスについて。“American Idiot”で歌詞を変え、政治的メッセージを投げかけなかった理由について。ビリー・ジョー「理由はいくつかあったんだ。もちろん、“せっかくこういう大きな場なんだから、何かを訴えるためのプラットフォームとして使いたい”という考えが頭をよぎることはある。でも一方で、時には“ここではそれをやるべきじゃない”と感じることもあるんだ。
今回は、過去のスーパーボウルでMVPになった選手たちが登場して、その家族もみんな誇らしそうに見守っている、そういう場だった。だから、“そこに自分たちの主張を持ち込んで邪魔したくないな”と思ったんだ。
それに、バッド・バニーの邪魔もしたくなかった。ICEをめぐっていろいろなことが起きていた中で、彼のメッセージの方がずっと強い力を持っていたからね。もし俺たちまで何かをやっていたら、場合によっては、ちょっと攻撃的すぎるというか、喧嘩腰に見えてしまったかもしれない。
だから、今回はそういうことをする場じゃないと思った。単純にステージに上がって、楽しもうと。それが一番大事だった。演奏を楽しんで、それから座って試合を観て、ホットドッグを食べて。それだけだよ」
⚫︎『アメリカン・イディオット』は政治的な作品になったが、グリーン・デイは政治的バンドになりたいわけではない、ことについて。「自分の考えをああいうふうに表に出すのって、やっぱり怖いことなんだ。少なくとも俺にとっては、もともと自然にできることではなかった。
俺たちが始めた頃は、政治とはまったく無縁のバンドだった。周りにはものすごく率直にものを言う人たちがいるシーンから出てきたけど、それでも自分たちは政治的なバンドではなかったんだ。
ただ、あの頃は本当にめちゃくちゃな時代で、それで『American Idiot』が、ある意味突然出てきた。あれは心から作ったものだったし、“なぜ世界がこんな暗くて醜い場所へ変わっていくんだろう?”という、完全な混乱の中から生まれたものだった。
そして、その感覚は今、とりわけ強く響くと思う。今はアルゴリズムによって、あらゆるものを絶え間なく浴びせられている。それがすごく興味深いんだけど、その一方で、たとえばワールドカップを観ていると、俺はアメリカをすごく誇らしく感じたんだ。
ワールドカップは、この20年間で国連がやってきた以上のことをしたんじゃないか、とさえ思ったよ(笑)。
本当に美しい光景だった。いろんな国の人たちが来て、“なんだこれ、ランチドレッシングって最高じゃん! これ、クラックみたいにやみつきになる!”とか言っていて(笑)。こっちは、“そんなの山ほどあるよ”っていうね。だから、歳を取れば取るほど、分からないことが増えていく気がする。物事はどんどん複雑になって、ますます混乱していく。
俺たちの曲が政治的になる時も、結局はそういうことを歌っているんだと思う。それに、それがちゃんと心から出てきたものであることも大事だと思う。 “政治的なバンド”になることが目的じゃない。もちろん俺たちは言いたいことははっきり言うけど、曲そのものはすごく個人的なもので、その時の人生において自分がどこにいるのかを記録するものなんだ。日記みたいなものだよ」
トロント映画祭では、監督やキャストのインタビューなどもあったのだけど、日本で公開されるのか、現時点ではいまいち分からない。公開されることになったら、またレポートさせていただきます。