──それが各々の音楽に自然に出ているし、先ほどのREIKOさんやedhiiiさんの話にも通ずるアティテュードですよね。POSSEとして集まると、そこに改めて気づけるというか。ボースティングに近いことは随所でやってるんだけど、誰も蹴落としてないんだよね。やっぱその感じが今、日本および世界に必要な空気感な気がする(SKY-HI)
SKY-HI そう。POSSEの制作およびライブを経て、アーティストとして、俺も含めて全員が成長したっていうのがすごく美しいことだと思うんですよ。ソロアーティストって全部自分で決めなきゃいけないから、しんどすぎて心が折れちゃうことってよくあるんだけど──音楽作るのってよくセラピーって言われるじゃないですか。自分の悩みとかを表に出すから。でも、人と作るのは究極のコミュニケーション。これを通して俺たちはずっと会話をしてるんだと思う。そういうボールを外部の、それこそSALUとかが受け取ってくれてる感じもあって、明らかにそれがリリックに出てるのを見ると、ありがてえなって思う。やっぱ友達なんだなって。CHANGMOもそう。言語が違うのに、俺らが言ってることをちゃんと受け取ってくれてる。
──SKY-HIさんとNovel CoreさんがCHANGMOさんとコラボした“ZOOM”は、3人のフロウがとにかく痛快で。すごく風通しがいい曲だと思いました。
SKY-HI 風通しいいっすよね。今回のアルバムでいいなって思うのが、ボースティングに近いことは随所でやってるんだけど、誰も蹴落としてないんだよね。やっぱその感じが今、日本および世界に必要な空気感な気がする。edhiii boiが象徴するように、日本は特に1億総寂しがり屋みたいな世界じゃん。SNSの台頭以降、繋がりやすいからこそみんな孤独を抱えているみたいな。そこへのカウンター的な意義は大事にしたいんだよね。
──あと、“Tokyo Night Dreaming feat. No Rome”についても聞きたいです。これはどういうきっかけでコライトが実現したんですか?
SKY-HI No Romeはもともと自分のラジオに来てくれたり、「今度遊ぼうよ」ってずっと言ってて。ある日共通の友人から「No Rome来日するらしいよ」って連絡が来て。じゃあ日時決めて遊ぼう、フィリピンの話聞かせてよって。で、これはREIKOも呼ぼうと。フィリピンの出身で、今イギリスで活躍してるNo Romeと面白い話になるんじゃないかと思ったから。それで2時間くらい一緒に飲んで遊んでたんだけど、No RomeがおもむろにPCを取り出して、「実は昨日、東京をイメージしてトラック作ったんだよね」って。そこから一緒に、1時間くらいで完成させました(笑)。
──最高ですね。『TYOISM Vol.1』はそうしたグローバルなコラボレーションもありながら、“New Chapter”だったり、“The Sun from the EAST”や“The Moon in the WEST”といった、日本を色濃く表現する曲もあって、ドメスティックとグローバル、その両方を打ち出しているのも、「東京」というテーマに合致しますね。僕らにはストーリーがあるし、そこに共感してくれるファンも多い。でも僕はデビュー当初はそこに目を向けたくなかったんですよ。音楽ファーストでありたいという思いが強かったから(Aile The Shota)
SKY-HI そうですね。これは個人的な考え方でもあるんだけど、真にグローバルであるためには真にドメスティックであったほうがいいっていう。
Aile The Shota それ、めっちゃ思います。J-POPシーンなんてかなりドメスティックで、僕はJ-POPをレペゼンしたいからこそそれに向き合っているんですけど、そもそもBMSGという存在がドメスティックなんですよね。そこにめちゃくちゃ強みがあるということに気づきました。僕らにはストーリーがあるし、そこに共感してくれるファンも多い。でも僕はデビュー当初はそこに目を向けたくなかったんですよ。音楽ファーストでありたいという思いが強かったから。
SKY-HI カラーがつくことに対する悩みもあったよね。
Aile The Shota 『THE FIRST』出身という肩書きに頼りたくないし、それによって色眼鏡で見られるのも嫌だったんですけど、BMSGはこの東京でしか生まれない空気感をしっかり表現していくアーティストの集まりであると、今話していて実感しました。BMSGが大衆から求められるっていうことの意味もそこにあるんですよね。
──最後に今後のPOSSEの動向について、今の考えを聞かせてください。
SKY-HI 5人のソロアーティスト、各々がこのアルバムを通過したことで、やるべきことがすごく明確になったというのが現状だと思うので、来年はそれぞれが結果を生み出すこと。一方で、これはソロでは出せないけどPOSSEでやりたいなという選択肢がみんなに生まれたわけで。そういう遊び場としても成長させていきたいし、どっかのタイミングで他のアーティストも気軽に入れる場所になってくる気がするんだよね。ソロワークをずっとやってきてると自分に飽きちゃうとか、マンネリも感じたりするから、そういう時に気軽に飛び込める場所でありたい。と同時に海外で「日本のシーンって今どんな感じ?」っていう時にクリックされる存在でもありたい。今はその3つかな。
──これからもPOSSEとは自由な遊び場であり続けるということですね。
SKY-HI フレキシブルだよね。
Novel Core そう。流動的でありたい。
SKY-HI でも急に来るから気をつけといてほしいよね。たとえばO-EASTでedhiii boiがライブやるよっていう時に、いきなりPOSSE出てくるかもしれないから。
──ファンも油断してられない(笑)。
SKY-HI 油断してたら急に行くからね。あいつらには気をつけろって太字で書いといてください(笑)。
ヘア&メイク=SKY-HI:Shiizu Megumi、Novel Core/Aile The Shota:Megumi Kuji ( L&Co. by luckhair )、edhiii boi:Kana Mizuno、REIKO:Arisa Kondo スタイリング=Yuji Yasumoto
このインタビューは、12月27日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』2月号にも掲載!
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