広がる音楽の樹に新たな枝

ヨ・ラ・テンゴ『フェイド』
2013年01月09日発売
ALBUM
ヨ・ラ・テンゴ フェイド
前2作でポップ、ロック、ジャズ他多彩なアレンジ〜音楽的スタイルを実践、引き出しの多さと柔軟性を見せつけたヨ・ラ・テンゴ。その反動と捉えるのは安直かもしれないが、初めてジョン・マッケンタイアと組んだ本作はアルバムの尺および曲数も含め、凝縮に向かっている。ほのぼのとしたメロディ、ノイジーなパンク・ポップといった彼らの刻印も押されているものの、全体としては空間&テクスチャー重視の落ち着いた内容。作品タイトルやジャケットも含め、時の流れや人生の秋に目を向ける姿が浮かぶ音だ。精神面では(これまたマッケンタイア録音の)ティーンエイジ・ファン・クラブ『マン・メイド』に近い作品かもしれない。
 
マタドールの公式サイトは本作を彼らの最高傑作『アイ・キャン・ヒア~』や『~ナッシング~』に比しているが、あの2作に真空パックされた電気を帯びた雲のような幽玄さ/密度の濃さはここにはない。それでも6曲目以降=アルバム後半は彼らならではの儚い美が広がっていき、シークエンスも含め秀逸。オープニングと最終曲も素晴らしいのでそのぶん作品前半の甘さは惜しいが、標準レベルが高いバンドなので点も辛くなるというものです。 (坂本麻里子)
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