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冒頭の《簡単に幸せになれる方法を探してる／そんな検索ばかり馬鹿馬鹿しい？》という2行だけで心を掴まれた。わからないことがあれば考えるより先にスマホで調べるのが当たり前になっているから、つい答えのないことすら調べようとしてしまう。というか、答えが見つからないという状況が耐えられない――そんな不安を一瞬にして言い当てられたかのような感覚になる。他の人がどれだけ苦労しているかとか、どれだけ悩んでいるかとか、端から見ているだけではわからない。だけど曲を聴き進めると、幸せを模索し生きるのに葛藤しているのは自分だけではないのだと思わせてくれる。自分が間違った選択をしたのではなく、ただ《落とされた世界が少し泥濘んでいた》だけだと寄り添ってくれる。シングル曲は華やかだったり壮大だったりするものだという勝手な先入観があるが、この曲ではミニマルなアレンジにこだわった。だからこそ自分の心のすぐ近くにある、ほんの少しの隙間にすっと収まる、聴く人を選ばない音楽になっている。（有本早季）（『ROCKIN'ON JAPAN』2025年9月号より）
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