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人力の歌と演奏が基調となるがゆえに一定の制約からなかなか抜け出せないと考えたくもなりがちな「ロックバンド」だが、限界突破をしてくれる人たちと出会えると嬉しくなる。Chevonがそういう存在であることは、おそらく多くの人にとって先刻承知だろう。新曲“さよならになりました”も乱高下する歌メロ、リズムとテンポチェンジを交えたドラマチックな展開が圧倒的にかっこいい。ボカロソングがJ-POPにもたらしたメロディの複雑化、動画投稿サイトの「歌ってみた」文化が加速した歌唱スキルの高度化が生んだバンドだと感じさせる要素を満載しつつも、歌詞とサウンドの両方にちりばめられた和的要素が叙情性を醸し出しているのも楽しい。「新しい」と「どこか懐かしい」の合わせ技が絶妙に成立している。春が醸し出す切なさ、儚さ、やるせなさの描写が、クリエイターとしての覚悟を映し出している……という歌詞の解釈が正しいのかはわからないので参考程度にとどめてほしいが、そんな想像を誘う余白も楽しめる曲だ。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号より)
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