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先日のワンマンで本格的な海外進出を宣言したAwich、これまでの活動のひとつの区切りともとれる最新作がリリース。タイトル通り、沖縄と女性という自身のアイデンティティにもとづくテーマを中心に、仲間と連帯することで訴求している。それは端的に言えば、植民地主義と男性中心主義への抵抗であろう。けれども、前作までの武闘派なスタンスとやや一線を画しているのが興味深い。KMとタッグを組んだ“口に出して 2”に顕著だが、時に感傷的になりながらもここまで内省を吐露する姿勢は、結果的にヒップホップのオルタナティブな側面にも光を当てているようにも映る。実際、“Call On Me”のY2Kムードや“Burn Down”のブルージーなギター、J-POPにも接近する“かくれんぼ”等、サウンドの幅も広い。傷ついた精神までもさらけ出すAwichの姿はリアリティに満ちており、血だらけになった自らを飾らない歌声で優しく撫でるように歌う曲群、それら弱さもさらけ出すリーダーシップがドキュメントされている点に現代性を見る。(つやちゃん)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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