04年に行われたワイト島フェスにおけるザ・フーのヘッドライナー出演の全貌をとらえた映像作品。さまざまあるザ・フーのライブ作品の中でなぜ特にこの作品を観るべきなのか。それはまず映像がきれいだからだ。00年代に入ってからの映像なのでやっぱり気持ちいいくらいに観やすいし、そんな映像の中のロジャー・ダルトリーとピート・タウンゼントは歳を取ってもなおかっこいい。また、サウンドも素晴らしく、あますところなくザ・フーを堪能できる。そして、第二の理由は選曲が素晴らしいから。これほどザ・フーの魅力を詰め込んだセットはありえないというくらいにキャリアを見渡したものになっている。ザ・フーは本ライブの後、ライブ・オデッセイで初来日を果たすことになった。セットはもちろんこの時よりも短かったが、このライブがベースになっているのだから、あの時ザ・フーを観た人は絶対に本作で感動を再確認するべきだ。初めて観たから素晴らしかったのではなくて、ザ・フーの演奏は文句なしにいいから感動したのだと。なお、日本盤は70年のワイト島フェス映像盤も付属、『トミー』を抜粋だが一続きで観られる。( 高見展)