6月29日(土)、ミスフィッツがオリジナルメンバー再結成公演をロサンゼルスのBanc of Californiaスタジアムで行なった。現ラインナップは、結成メンバーのグレン・ダンジグ(Vo)とジェリー・オンリー(B)、ドイル・ウルフギャング・フォン・フランケンシュタイン(G)に、元スレイヤーのデイヴ・ロンバード(Dr)とエイシー・スレイド(G)を加えた5人。
1983年の解散後、グレンは「ダンジグ」としてデビューし、1995年にバンド名の使用権をグレンから勝ち取ったジェリーと弟のドイルがミスフィッツを再結成して、バンドを生かし続けてきた。だが、2016年、結成40周年を機にグレンが戻ってジ・オリジナル・ミスフィッツとして再結成、「Riot Fest」のデンバー公演(9/4)とシカゴ公演(9/18)に出演したのだ。
その後、2017年12月末にロサンゼルスとラスベガスでの公演が実現、2018年には彼らの地元ニュージャージーでの公演が行われた。今回のLA公演は、4月のイリノイ州ローズモント公演に続く今年2度目のショウである。
22,000席(+スタンディング)のスタジアムは9割方満杯。50代から子供達まで、キッスのショウのように幅広い年齢層の観客が集っている。「クリムゾン・ゴースト」というドクロマークのTシャツやグッズが今も大人気で、メタリカやガンズ・アンド・ローゼズが曲をカバーしたレジェンド級のバンドではあるが、ミスフィッツがスタジアムを埋め尽くせる事実に正直驚きを覚えた。
ジェリーとドイルはガイコツ顔メイクと前髪を尖らせた「デビルロック」ヘアのスタイルを貫き、ステージ左右に特大のカボチャのランタンが置かれ、アンプにはドクロマークが並び、スクリーンではそのマークや曲に合わせたホラーな映像が流されていて、エンターテイメント性は十分に大会場に対応している。
だが、この巨大な空間をずっと一致団結させていたのは、シンプルなコード進行の直球パンク・ロックの求心力だった。ミスフィッツの曲には、終始モッシュできる激しさとスピードがあり、拳を突き上げて合唱できる熱いメロディがある。チケットの値段毎に3区画に区切られたフロアでは3つの巨大なモッシュピットが出現し、激しく回り続けていた。そして、ラストの“Last Caress”からアンコール(7曲!)での大合唱は、実に圧巻だった。
同行した30代の友人は、彼女が聴いて育ったグレン不在期の曲が全く演奏されなかったことに憤慨していたが、「私はFiend(ミスフィッツの熱狂的ファン)だからまた絶対観に行く」と言っていた。ハードコア/パンク・レジェンドの史上最大級のステージは、忠誠心溢れる往年のファンによって大成功を収めていた。
今後、ジ・オリジナル・ミスフィッツは、8月にラスベガスで3日間行われる「Psycho Las Vegas」でヘッドライナーを務め、9月にデンバー(7日)、 オークランド(11日)、シアトル(14日)で公演を行う予定だ。(鈴木美穂)