10月22日、ミューズの取材が行なわれたのは、ロサンゼルス近郊のバーバンクにあるワーナー・ブラザース・レコードのオフィスだった。LAでの対面取材ということで、ロンドンの児島由紀子さんと日本の粉川しのさんの質問を預かり通訳としてのインタビュー。この日はクリス(B)のスケジュールが合わず、マシュー(Vo&G)とドム(Dr)のふたりに、それぞれ話を聞くことなった。
応接室のような部屋に通され、まずはドミニク・ハワードのインタビューから。
ドムが何度も笑顔になって話してくれたおかげで、とても和やかな雰囲気だった。和太鼓を使ったという話を始めた瞬間に太鼓を叩く手振りをしたり、ツアーの話題では「僕達がクレイジーなグラフィック映像やビデオを映し出す大スクリーンの前で演奏していると、僕達じゃなくスクリーンの方に釘付けになってて、『イェー!』って興奮してる観客の顔が見えるんだ」と言いながら、その観客の様子を再現したりと、映像でお見せしたいほどのエンターテイナーぶりだった。
その後、別の部屋に移動してマシュー・ベラミーの取材。その部屋に入る前に、「マシューは今うちの社長とおしゃべりしてるところだから、少し待ってね」と言われ、「社長が直々にお話にくるなんて、さすがミューズだ」と少し緊張。けれどこの日のマシューも、ドムと同じく人当たりのいい穏やかな雰囲気を放っていて、挨拶をした瞬間に緊張が解けた。時折すごく楽しそうに笑いながらこちらの質問に答えてくれて、前作とは対照的にポップでカラフルになった新作『シミュレーション・セオリー』に確かな手応えと自信を感じているのが伝わってきた。
最も彼の人柄の良さを感じたのは、「永遠にミューズ・クラシックを求めるファン」についての質問をした時。
「僕は、新しい音楽を気に入ってくれない人達に対して、その裏では僕達を褒めてくれてるんじゃないかって思うんだよ。だって僕達が過去にやったことをそこまで好きになってくれて、僕達に変わって欲しくないと思うんだからね」。
こんな考え方ができる彼を、優しい上に物事を高い視点で俯瞰できる人だと思った。非常に興味深い取材になったので、記事を楽しみにしていて欲しい。(鈴木美穂)
※編集部注:後日、クリス・ウォルステンホルムの取材も無事行われました。掲載は、12月1日発売の『ロッキング・オン』1月号。
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