フロスト・チルドレンを代官山SpaceOddで目撃!

フロスト・チルドレンを代官山SpaceOddで目撃! - pic by KAZMA KOBAYASHI/@kindai_punks(Instagram)/@2drider(Twitter)pic by KAZMA KOBAYASHI/@kindai_punks(Instagram)/@2drider(Twitter)

rockin'on3月号の「気になるあいつ」にて本誌初登場を果たした、NYエレクトロシーンの超新星:フロスト・チルドレンの初来日公演がついに実現! 昨年リリースした『SISTER』で、DIYシーンの人気者からポップスターへの足がかりを一気に掴み、いま最も勢いのある新世代アクトのひとつへと躍り出た2人。

そのライブは、ペンデュラムを彷彿とさせる過激なドライヴ感と、アウル・シティ的なキャッチーで歌えるメロディを掛け合わせ、00年代以降の電子音楽の系譜をデジタルネイティブ世代の感覚でアップデートしたかのような一夜だった。
そんな記念すべき日本初パフォーマンスの模様を徹底レポート!

ノイズ混じりの電子音の中から、オープナー“ELECTRIC”のイントロが響いたのは19時50分。初っ端から臨戦態勢の2人が《Body to body, we couldn't get more electric, uh》とコーラスを叫びながら登場すると、フロアの空気は一瞬で引き締まった。軽やかなフットワークで観客を煽るルルと、金の旗をずっしりと掲げたエンジェル。プレッピーなファッションと相まって、その佇まいはまるで2000年代後半のカレッジパーティーから飛び出してきたかのような熱狂ムードで、瞬く間にフロスト・チルドレンの世界観を会場に立ち上げていた。

そんな鮮烈な幕開けを経た前半戦は、最新作『SISTER』の楽曲を中心に、現在のモードを一気に提示する展開。日本でも話題を呼んだアルバムからの楽曲が続いたこともあり、1階フロアは終始揺れ続け、シンガロングも自然発生する盛り上がりを見せた。だが、その熱狂は単なる“パーティー感”だけではない。

“CONTROL”では、クールなエモーションを帯びたコーラスとグリッチまみれの間奏の落差に合わせ、フロアの動きまでもが呼応。“BOUND2U”では、前半から後半にかけてゆっくりとピークへ到達していく音像が、オーディエンスとアーティストのあいだで共有されていく。狂騒的に踊らせながらも、楽曲の構造そのものを体感させる――そんなミュージシャンとしての身体性が、ライブの随所で光っていた。(とはいえ、“WHAT IS FOREVER FOR”の盛り上がりは、この日のピークと言っていいほど凄まじかった……)

基本的に全曲を2人で歌い上げながら観客を煽るスタイルは一貫しているが、インストパートでは彼らのバックボーンがより鮮明に浮かび上がる。そこから立ち上がる音像はデヴィッド・ゲッタやゼッド、ニッキー・ロメロを思わせる王道EDMの文脈に連なるもの。直感的で即興性の高いプレイの中にも、フェスティバルアンセムの黄金時代への愛情とリスペクトがしっかりと刻まれているのが印象的だった。

前半戦が最新モードの提示だったのに対し、後半戦はフロスト・チルドレンのアンセムが次々と飛び出す、いわばグレイテストヒッツ的な流れへ。『SISTER』からはストリーミング上位の“RADIO”“FALLING”に加え、盟友ニーナ・ジラーチの“FUCK MY COMPUTER”のリミックス、さらにはダニー・ブラウンとのコラボ曲“SHAKE IT LIKE A”。加えて新曲まで惜しみなく披露され、観客のテンションにさらに熱を加えるラインナップが揃った。

こうした構成の面白さは意外な一曲と出会いにも繋がる。個人的に強く印象に残ったのは“FLATLINE”。これまで筆者は、過激な電子音と歌って乗れるメロディの融合こそがフロスト・チルドレンのシグネチャーサウンドだと捉えていたが、この曲はボーカルが極めてミニマル。一方でサウンドの引き出しは驚くほど多彩で、キャッチーな効果音やエレポップ調のシンセ、さらにはスクリレックス的なノイズまでが次々に飛び込んでくる。そして最後にはそれらの要素が一気に重なり合う。こうした“発見”こそ、ライブという場の醍醐味なのだと改めて感じさせられた瞬間だった。

フロスト・チルドレンのこれまでの歩みを凝縮した約80分間で24曲が披露された怒涛のステージは、ファーストアルバム『SPIRAL』収録の“FOX BOP”“LETHAL”で幕を閉じた。現在の代表作『SISTER』の楽曲とヒットアンセムを軸にしながら、最後はキャリアの始点へと帰着する構図。それは自分たちのルーツをあらためて示すようでもあり、初めての日本のステージにふさわしい締めくくりだったと言えるだろう。

もっとも、この夜のハイライトは音楽だけではなかった。ライブ当日が誕生日だったエンジェルに向け、会場全体で巻き起こったバースデーコール。さらに観客がスマホのライトでステージを照らす光景からは、すでにフロスト・チルドレンと日本のオーディエンスのあいだに確かなリスペクトが生まれていることが伝わってきた。初来日とは思えないほど自然に成立していたこの関係こそ、彼らが次に日本へ帰ってくる理由になるのかもしれない。(北川裕也)

---セットリスト---
1.ELECTRIC
2.CONTROL
3.BOUND2U
4.WHAT IS FOREVER FOR
5.DIRTY GIRL
6.FEEL LIKE I’M DREAMING
7.POSITION FAMOUS
8.BLUE EYES
9.RALPH LAUREN
10.FLATLINE
11.SHAKE IT LIKE A
12.FALLING
13.SISTER
14.DON’T MAKE ME CRY
15.10 MIN CARNIVAL
16.FUCK MY COMPUTER
17.SATELLITES
18.RADIO
19.ON UR SIDE
20.DID YOU HEAR ME
21.2LOVE
22.COUP
23.FOX BOP
24.LETHAL
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