今週末開催のコーチェラフェスに土曜日出演予定のデヴィッド・バーン。
ご存知のように8月開催のサマーソニックにも出演が決定している。
https://www.summersonic.com/lineup/
そんなデヴィッド・バーンが今週アメリカのTV番組『The Late Show with Stephen Colbert』に出演し、短いながらツアーについて語ったのと、ツアーメンバーとライブパフォーマンスも披露した。
1)会話の内容は以下の通り。
︎●あなたはいつも「コンサートとは何か」を更新し続けていますよね。今回のツアーで、どんな体験にしたいと考えたんですか?
「カラフルなものにしたい、というのは最初から決めてた。前のツアーはグレーだったからね。悲しいショーだったわけじゃないけど、どこかグレーだった。でも今の時代には、色が必要だと思ったんだ。だからこうなった(真っ青の衣装)ってわけ」
︎●トーキング・ヘッズの”Psycho Killer”や”Life During Wartime”も演奏していましたよね。あの曲たちは、最初に演奏していた頃と比べて、今の時代だと違って感じますか?
「「いやもう、本当にね。特に後者の“Life During Wartime”はそうだね。曲の本当に、本当に最後のところで、ICE(移民税関執行局)の映像を使うためにライセンスを取ったんだ。曲の最初から最後まで流したら、あまりにも重くなりすぎてしまうから、最後だけにしている。
最初に流すのは、自転車に乗った配達員みたいな人がICEの連中に追いかけられて、でも逃げ切る、っていう映像なんだ。シカゴでの出来事なんだけど、そのクリップを初めて使ったのもシカゴだった。あそこでは本当に何度も何度も(取り締まりが)起きていて。ジョン(・モロニー/バーンの左)もそこにいたんだけど」
ジョン「あれは今まで見た中で、ライブの観客のリアクションとしては最大級で、しかも最高にクールだった。信じられないくらいだったよ」
︎●パフォーマンスする曲”When We Are Singing”について。
「最初はね、自分の仕事そのものについて歌を書くのは、あまり好きじゃないと思ってたんだ。でも、こうも思った。歌っているときの人って、どこか妙に見えるよね。口を開けているだけで、それが恍惚としているのか、誰かに足を踏まれたのか、それとも何か恐ろしいものを見たのか、全然わからない。結局、全部同じ表情に見えるんだよ」
2) ”When We Are Singing”のパフォーマンス映像。
3)最新ツアーをNYラジオシティで観た。
コレポン通信に掲載済みの記事に写真を追加し、再掲したい。転載したい。
デヴィッド・バーンが語るように前回のツアーにはなかった巨大な高画質スクリーンに映し出される映像が、ライブをさらに鮮烈なものにしていたのが印象的だった。
デヴィッド・バーンが、2009年以来なんと17年ぶりにサマーソニックでこの夏来日することになった。現在73歳で、キャリア50周年を迎えようという彼だが、ここ数年の活躍が目覚ましい。2018年の『アメリカン・ユートピア』リリース後、2019年の同作のNYブロードウェイショーの大成功に続き、2020年にはスパイク・リー監督による映画化。2024年にはジョナサン・デミ監督によるコンサート映画の最高峰の1本ともされるトーキング・ヘッズの『ストップ・メイキング・センス』をA24が40周年で4Kレストア版として公開。半分以上の観客が新世代だったという統計もあり、同年にはトリビュートアルバムがマイリー・サイラスからパラモア、ロードらのカバーで発売された。昨年6月にはNYフェス、ガバナーズボールでオリヴィア・ロドリゴのヘッドラインステージに登場し、トーキング・ヘッズの名曲“Burning Down the House”を完璧な振り付け付きで新世代の観客の前で披露した。そして昨年9月に最新作『Who Is the Sky?』がリリース。タイトル通り、答えがありそうでなさそうな人生の深い疑問を問いかける作品であり、人と人とのつながりを探求し、キャッチーなポップメロディと実験性、創造性に満ちた『アメリカン・ユートピア』の延長線上にある作品だ。
このツアーは昨年アメリカで開始し、現在もヨーロッパに続き、4月のコーチェラも含む北米ツアーを開催中だ。昨年、NYの由緒あるラジオシティ・ミュージックホール(キャパ6000人)で4日間ソールドアウトとなった公演のうち1日を観る機会があったので、ご紹介したい。
このツアーについてバーンは、Live Nationのインタビューでこう語っていた。「かなり前から気づいていたんだけど、“レガシー・アクト”になってしまう危険って本当にあるとね。昔からのファンだけが観に来て、彼らが自分たちが育ってきた曲ばかりを聴きたがるというね」と。これはバーンに限らず、キャリアもヒット曲もあるバンドなら誰もが悩むところだろう。しかしこのライブは約2時間、全21曲のうち約半分がトーキング・ヘッズのヒット曲、残り半分では最新作からの“Everybody Laughs”“I Met the Buddha at a Downtown Party”“My Apartment Is My Friend”など5曲が自然に融合し、トリビュートアルバムに参加したパラモアのカバー“Hard Times”から、バーン曰く「どのレコードにも入っていない曲もやっている。今のところ、それに対する不満は一度も聞いたことがないよ」。
実際、ライブが始まった瞬間の印象も鮮烈だ。『アメリカン・ユートピア』ツアーは通常のライブ会場、フェス、ブロードウェイ、そして映画とさまざまな形で体験してきたが、それでもなお、まったく新しいライブとして立ち上がっていた。思えば、バンドがそれぞれの楽器を抱え自由に動き回る演出は、2009年来日時の公演にもその原型があったはずだ。それが飛躍的に進化し、このツアーで結実している。フロアも含めステージ全方向に張り巡らされたスクリーンに映し出される超高精細の映像。13人のミュージシャン、シンガー、ダンサーによるロック・コンサートであり、実験的な舞台でもある。それがこのステージでひとつの表現として完成し、何よりライブ全体で歓喜をもたらしてくれる。
ライブの中でバーンはこう語る。「どれだけこの世界が壊れていて、混乱していて、シニカルに見えたとしても——人は一緒にいることを愛している」と。つまり、ステージ上での調和は、パフォーマーと観客との団結をも象徴しているのだ。バーンはツアーの演出について、「僕が一番好きな瞬間のひとつは、最初の曲が終わったあとだ。振り返って地球の映像を見て、こう言うんだ、『ほら、彼女だ。僕らの天国だ』って。最初の1、2曲で観客にははっきり伝えるようにしている。これから君たちが体験するのはこういうものだと」と語る。
映像も振り付けも曲ごとに目まぐるしく変わり、それがポストパンク、ワールドミュージック、ニューウェーブ、ゴスペルと変遷してきた過去のヒット曲を新鮮に提示し続ける。しかしこの日いちばん驚いたのは、バーンのテナーがまったく衰えていないこと。というより、むしろ絶好調と言えるほどだった。踊り続けているのに息切れの瞬間もない、驚異的なボーカルだ。
このツアーでは、“Psycho Killer”が19年ぶりにセットリストに復活したことも話題となっているが、アーサー・ラッセルのアレンジが起用され、狂気からより共感へと開かれた響きになっていた。また、トランプ政権に対するスローガンが、このステージ全体の雰囲気に調和する独自の方法で提示されるのも印象的だ。そこで、会場からは大歓声が上がる。バーン曰くその演出を「“Tシャツ・ソング”って呼んでる曲なんだけど、メッセージを説明したりはしない。ただ体験してもらうだけだ」。
さらに、ステージでこうした瞬間が胸を打つ。彼が、「今この時代において、愛と優しさこそが、いちばんパンクな行為なんだ」という場面だ。これは「少し前に、俳優であり映画監督でもあるジョン・キャメロン・ミッチェルがインタビューで言っていたんだ。最初は正直ピンと来なかった。でもすぐに気づく。ああ、そうか、と。愛や優しさ、思いやり——それらはただの感情ではなく、ひとつの抵抗のかたちなんだ、と。そして同時に思う。こうしたものは一見すると弱く、頼りなく見えるかもしれない。けれど実際には、その“弱さ”こそが別の強さとして作用しているのだ、と」。それがこのステージで感じる新しさなのかもしれない。
ライブの最後は、「“Everybody's Coming to My House”から“Burning Down the House”へと繋げる。つまり——よし、パーティだ、って感じで終わるんだ」。 “My Apartment Is My Friend”では巨大スクリーンに彼のアパートが映し出される場面も圧巻。
この日のセットリスト