現在発売中のロッキング・オン9月号では、ポール・マッカートニーのインタビューを掲載!
以下、本インタビューの冒頭部分より。
「僕はただビートルズから遠ざかるための
道を切り拓いていただけなんだ」
ザ・ビートルズに関して、最初で最後、そして永遠不変の真実は、良くも悪くもそれが決して逃れることができないものだということである。ポール・マッカートニーがリハーサルを行なっているアビイ・ロード・スタジオの中に一歩足を踏み入れた瞬間から、その事実は目が眩むほどに明白なのだ。とにかくどっちを向いてもファブ・フォーのメモラビリアだらけで、その中には今も生きて呼吸をしているものもあり(休憩スペースでは紛うことなきジョージ・マーティン本人がお喋りに興じていた)、そのすべてが何とも言えない圧を醸し出しているのである。
元祖Apple Scruffs(訳註:ビートルズの追っかけファンの別名。ジョージ・ハリスンが同名の曲でそう呼んだことから)はもはや孫がいてもおかしくない世代だが、スタジオのある通り沿いには相変わらず種々雑多な人々がたむろしていた。建物の中に戻り、伝説のスタジオ2のコントロールルームでポールと向かい合わせで腰を下ろすと、自分の嗅覚までもが歴史の中に迷い込んでしまったように感じられた。後にポール本人から半ば冗談めかして言われた、「おいおい、早くそこから出ておいでよ!」。
1970年に時を戻そう。新たに元ビートルズという肩書を得て、あくまで強気ではありながら、彼に与えられていた選択肢には限りがあった上に、どれも取り立てて魅力的とは言えないものばかりだった。
まずひとつめはシド・バレットを踏襲し、以後35年間一切何の活動もせず沈黙を守り続けることで、移り気な天才が生み出した無垢の結晶たるレガシーを遺すという道。
ふたつめは自ら自分自身のトリビュートバンドと化し、つまるところクリエイティブな成長などという観念には鼻も引っかけずに、『ザ・サージェント・ペパー・レヴュー』や『アビイ・ロード:ザ・ミュージカル』等と銘打っては数年おきに世界各地を巡り、「あの頃」を懐かしみたがる大勢の客から根こそぎふんだくって回るという道。
そして3つめは、もう一度原点に立ち戻り、何もかもまっさらにして再スタートを切る、という道である。
(以下、本誌記事へ続く)
ポール・マッカートニーの記事の続きは、現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
Instagramはじめました!フォロー&いいね、お待ちしております。