この21曲のアルバムは、タイトルの長さにそぐわないとも言えるが非常に洗練されたポップアルバム。
しかし、このタイトルがついていることが必然な、鬼才だから作り得たポップアルバムでもある。
このインタビューにもそれが強烈に溢れ出しているし、ライブなどで彼のことを知っている人は大いに感じていると思うのだが、ギリッギリのバランスで谷口喜多朗は、このポップのバランスを成立させている。
このようなバランスで今の音楽シーンに立っている天才型の表現者は、今、特に日本の音楽シーンにほとんどいないと言っても良い。
そんな風に紹介することが決して大袈裟なことではないと思えるような作品、それが『「残像の愛し方、或いはそれによって産み落ちた自身の歪さを、受け入れる為に僕たちが過ごす寄る辺の無い幾つかの日々について。」』なのだ。
これからTeleという才能の深層にもっともっと切り込んでいきたい。
アルバムのラストを飾る”ぱらいそ”のMVも公開されたが、そんなTeleの危うさも暴力性も肯定性も美しさも、見事に詰まった映像作品になっている。
Teleのことが気になっているけれど、まだよく知らないという人がいたなら、まずこれを観てほしい!(古河晋)
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