まず、楽曲の構成についてだが、あえて冒頭にスリーカウントの音を入れることでリスナーの「来た来た！」という期待感を作り出し、そこからいきなりサビが始まるので、テンションは爆上がり。そこからAメロへ続く疾走感もいいが、Bメロで「トン タタン」のアニソンやアイドルソングの定番リズムを入れて一呼吸（というより、コールの時間かも）入れることで、一体感が生まれている。全体的にシンプルなようで細部まで考えられた構成が面白いし、ライブで楽しめるキラーソングになるだろう。
彼女たちは超ときめき♡宣伝部への改名以降、ポップな楽曲だけでなく、本格的なバンドサウンドの“エンドレス”や、ロックな“お届け！デリバリースター”、“7月のサイダー”や“ユラグラブ”などのエモーショナルな楽曲、“Sora”などの本格バラードなど、ライブで盛り上がる、ダンスで見せる、歌唱で聴かせる楽曲を多く発表してきていたので、この“きみにとっての幸せになりたいの”が、アイドルソングに振り切った楽曲という感じがして新鮮に思えたし、なんだか久しぶりな気がした。
今回は“チチンプイプイ”が、YouTubeで846万回再生（2024年7月現在）を記録している注目のボカロP・真島ゆろが楽曲を提供した。アイドルとボカロPというタッグも面白い！
これまでにも、すぅ（SILENT SIREN）、谷口鮪（KANA-BOON）、オメでたい頭でなにより、松隈ケンタやコレサワなど、ジャンルを問わず多くのアーティストから楽曲を提供してもらっているが、今回のタッグは今の超とき宣にとてもマッチしていると思う。
TikTokでは公式による倍速バージョンがリリースの前から配信されており、簡単で可愛いダンスにも注目が集まっていた。その点でもまたまたバズり曲になるのではないだろうか。
歌詞に関していうと、恋愛ソングではあるが、筆者としてはアイドルからファンに対するおねだりソングだと思えた。《きみにとっての幸せでありたいの／だから全部教えてよ》や、《Give me loveとか言う前に／きみを分かりたい／セリフは想像より重いから／I love Uとか言う前に／バイアス無くしたい／フラットなままでも／好きでいたいから》。これらはアイドルがファンに対する思いでもあり、ファンがアイドルに対する思いでもある気がして、そのもどかしい感じがドキドキさせてくれる。だからこそ、アイドルからのおねだりにも見えた。
このポップで癖のあるメロディとドキドキさせられる歌詞も含めて、超とき宣が新たな宣伝部員（ファンの呼称）のハートをロックオンしちゃう最強ソングなのではないかと思っている。
12月にはニューアルバムの発売と、前回はコロナ禍で生配信での開催となってしまった、念願（リベンジ）のさいたまスーパーアリーナ公演も決定しているので、どんな作品、どんな公演になるのか今から楽しみである。（岩田知大）
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