音楽というものが人の背中を押すためにあるのならば、アーティストが投げかけるメッセージは、「過去のことをクヨクヨ考えてないで、この先頑張ろう!」とか「きっといいことあるさ!」といった未来志向の前向きなメッセージになるはずだ。
ところが、reGretGirlの場合は違う。
過去を忘れさせるどころか、「一緒に忘れられない人を思い出そう!」とVo.平部は観客に訴えかけるのだ。これこそが、reGretGirlがreGretGirlたる所以だと思った。
別に辛いことがあったわけじゃないし、失恋したばかりでもない。と、最初は客観的にライブを観ていたつもりだったが、気付けば彼らの詩世界に引き込まれ、涙腺を刺激されていた。
カンフル剤的な強い言葉ではなくて、一生寄り添ってくれる救いのある言葉。誰かが決めつけた正しさではなく、自分の正しさに立つことを歌ってくれる人。それを心のどこかでは求めていて、自分も知らない心の奥を突き動かしたのだろう。
未来への一歩は、過去を忘れることではなく、過去と共に生きる勇気から始まる。
そんなことをreGretGirlは教えてくれた気がする。
(古閑英揮)
忘れることは簡単だと思ってた。でも、記憶は色褪せず、時を超えて美しく残る。——reGretGirlのライブを観て考えたこと
2024.03.27 08:04