【インタビュー】兼丸(the shes gone)×菊池陽報(This is LAST)×平部雅洋(reGretGirl)、3度目の「the shes LAST Girl」を前に三者三様のロックを本音で語り合う

【インタビュー】兼丸(the shes gone)×菊池陽報(This is LAST)×平部雅洋(reGretGirl)、3度目の「the shes LAST Girl」を前に三者三様のロックを本音で語り合う

この3バンドは「同じジャンル」って言われることも多いけど、腹の底では全員「違うぜ」って思ってることを確認してほしい(兼丸)

──3バンドはいつ頃出会って、交流が始まったんですか。

平部雅洋(reGretGirl) the shes goneとは初めて会ってから5年ぐらい経ったかな。

兼丸(the shes gone) 2018年のreGretGirlのツアー(「“take out” ツアー」)の仙台公演にゲストアクトとして呼んでいただいたのが最初ですね。そのときは打ち上げもなかったんですけど、「よろしくお願いします」とは言っていて。This is LASTは、僕がたまたま遊びに行った打ち上げで会って、ライブも観てないのに仲良くなるという(笑)。

菊池陽報(This is LAST) reGretGirlとは急に4連チャンくらい一緒になることがあって。

平部 This is LASTと最初に一緒になったのが2022年3月のUK.PROJECTのイベント「ONE ON ONE-SPECIAL-」で。それもこの3バンドが出演してたんですよ。そのあと自分たちのツアーに誘わせてもらったりで、「ONE ON ONE」のあと2ヶ月で4回くらい対バンした。

兼丸 濃いね(笑)。

──見ているとすっかり気心の知れている感じですよね。

兼丸 一昨日も、しばらくライブがないということで僕とアキくん(菊池)で飲み歩いてたら、たまたまべーさん(平部)も渋谷でライブ終わりだったので、「顔だけ見に行こう」ってなって(笑)。

平部 ライブハウスで打ち上げしてたら夜中の3時頃にふたりがのこのこやって来て、全然イベントと関係ないのに一本締めだけして帰って(笑)。とりあえずうちに連れて帰って、そのまま明け方にいろんなバンドのMV鑑賞会してました。

菊池 あれ最高だったよね。

──それぞれの最初の印象はどうでしたか?

平部 僕は最初ふたりに人見知りしまくってたんで、こんなに打ち解けられるのが想像できなかったですね。

兼丸 べーさんはちょっとお兄さんではあるし、僕らよりライブのキャパも大きくて、いろんなフェスにも出ていて……でもどっかの打ち上げで飲んだあと、ベーさんの家と僕の実家が近かったので遊びに行って泊まったりして、もうタメ口で大丈夫かなと思った瞬間がありました(笑)。

平部 そういえば知らん間にタメ口やな(笑)。

菊池 俺は、最初の頃はふたりとも「芸能人だ……!」って思ってました。

兼丸 そうなの?

菊池 俺らが東京のライブハウスに出始めたくらいのときには、もう2バンドともYouTubeでMVがすごい回ってたし、俺らからしたら雲の上の存在みたいな感じだったんですよ。だから初めて会ったときは「あ、売れてる人来た」って思ったのを覚えてますね。

兼丸 そのあと、飲みに行ったりしたんだっけ?

菊池 シズゴのツアー(「ONE MORE TOUR 2020」)の新潟公演のゲストアクトとして誘ってくれたりして。そのあとコロナ禍に入ってライブができなくなったけど、ふたりでキャンプ行ったり、バンドというより友達として仲良くなった感じだよね。朝まで電話したり。

兼丸 恋人みたいに電話してたね(笑)。

平部 付き合ってたんや?(笑)。

──そこから3バンドでイベントをやるまでに至ったんですよね。

平部 対バンは結構あって。ジャンルというか界隈が近いとはずっと感じてたので、3バンドでイベントをやるようになったのは必然なのかもしれないですね。

兼丸 ファンの皆さんの間でも「この3組のイベントが観たい」って声が上がっていた中で、「ONE ON ONE」っていうイベントで一緒にやることになったんですけど、コロナ禍でメンバーに濃厚接触者が出ちゃって、the shes goneは僕の弾き語りでしか出られなかったんですよね。やっぱりバンドで出たかったので、「もう1回リベンジさせてもらえませんか?」っていう話をしました。

平部 だからこのイベントはthe shes goneが発起人やと思ってる。

兼丸 俺、発起人系多いんだよなあ……言うだけ言うんだよ、酒入ると(笑)。この3バンドは「同じジャンル」って言われることも多いし、求めてくれる層が近いと思うんだけど、腹の底では全員「違うぜ」って思ってることを確認してほしいし、僕ら自身も高め合いたいなと思ってますね。

【インタビュー】兼丸(the shes gone)×菊池陽報(This is LAST)×平部雅洋(reGretGirl)、3度目の「the shes LAST Girl」を前に三者三様のロックを本音で語り合う

結局は「自分自身をどんだけ出すか」。3バンドともライブのスタンスは全然違っていて、それがライブイベントとしての面白さに繋がってる(平部)

──お互いの音楽性についてはどんなふうに感じていますか? 通じる部分とか、ここは違うなというところとか。

菊池 好きなバンドとかアーティストは、かすってたりもするよね。

平部 同世代やからそういうこともあると思う。でも根本で影響を受けてるバンドは違うかな。

兼丸 それぞれゼロイチで、ちゃんと違うものを作ってる自覚はあるし。

平部 うん。似てるとは思ってないな。

菊池 音楽性が全然違うからこの3バンドのイベントが成り立ってるんじゃない? 近すぎるとつまんないイベントになると思うし、2回開催してどっちも楽しかったということは、やっぱりお互いに全く違う音楽をやってるからで。テーマとしては3組とも「恋愛」に絞ってやってると思うんですけど、切り込み方もアウトプットの仕方もそれぞれ違っていて。「テーマが一緒でも最終的に全く違うバンド」の3マンになってるのがいいんじゃないかな。

兼丸 そもそもみんな「恋愛」を大きなテーマとしてやってる?

平部 やってるよ。

兼丸 あ、やってんだ……っていう、その差はあるかもしれないですね。the shes goneは恋愛の曲を通して多くのお客さんに知ってもらってるんですけど、僕としては別に「日常」がテーマなだけで、恋愛じゃない曲も作っているので。それをライブでぶっ込んでも、シーンとしてたけど……。

平部 それは持っていき方や。兼丸の腕やで。僕は恋愛じゃない曲でも持っていけるから。

兼丸 それは「優勝ぉ!!」とかやるからでしょ。

平部 それが僕のやり方やん。自分のスタイル見つけなあかん。

兼丸 僕は観てる方に「勝手にどうぞ」って感じだからなあ。ベーさんはノリ方をお客さんに教えてあげられるというか。

平部 「こうやってノッてくれ」とかは思ってないけど、「俺についてきてくれ」っていうのはあるな。

菊池 俺はどうだろ……フロントマンとして「俺についてこさせる」っていうのは、あるべき姿だなと思う。

平部 僕は単純に「自分の言いたいことをみんなに聴いてもらおう」って思っていて、それをどうやって伝えるかを日々ずっと考えてて。同じ言葉でも、誰が言うかによって刺さり方が全く違うじゃないですか。だから見え方もしっかり研究してるし……もちろん僕の好みでやってるから、「正解がどう」とかじゃないんですけど。

兼丸 ふたりは観てる人を引っ張れるんだよなあ……。あー、打ち上げの反省会みたいになってきた。

平部・菊池 (笑)。

兼丸 いつもマジでウジウジ言ってて……向いてないんですよ、フロントマンに。

平部 それが良さやとも思うけどな。ウジウジしたりするのも胸の中に熱いものがあるからやと思ってて。それを最近はしっかり出せるようになってきたなと思ってる。

兼丸 まあ、嫉妬っすよね。「なんで自分にはできないんだ?」っていう。ベーさんがお客さんの前でバーッといけるのにも。僕も出てきた瞬間ワーッて言われたいの、本当は。

菊池 どっかにラインがあるわけよ。観てる人もそれを越えたくて、こっちがそのラインを越えた瞬間にその流れが広がるから。それを作っていくかはマル(兼丸)次第じゃない?

兼丸 なるほどね。まあでも、ウジウジしてるバンドもいれば「来いよ!」っていうバンドもいるっていうのも──。

平部 このイベントの面白さに繋がってるよな。結局は「自分自身をどんだけ出すか」やと思ってて、やっぱライブの仕方にそれがいちばん出てるなって感じてますね。リスナーが近いっていうのはありつつも、この3バンドを見比べるとライブのスタンスは全然違っていて、個々の色がしっかり出ているんで、それが「the shes LAST Girl」のライブイベントとしての面白さに繋がってると思ってます。

兼丸 2023年に「the shes LAST Girl」を6公演もやって、「引っ張っていく」のか「聴いてもらうのか」っていうのが余計にわかったかも。

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