「アルバム、楽しみにしていてください」
巨大なスタジアムを埋める大観衆に向けて放たれた盛大なライブ、そのすべてのパフォーマンスを終えてステージを去る間際に、Taka(Vo)は真っすぐに前を見ながらそう言った。ミュージシャンが放つ言葉としてとてもシンプルで、だからこそ深い決意と自信を感じさせるその言葉は、幸せな余韻に浸る空間の中で、とても力強く響いた。その言葉を聞いたとき、「ああ、やっぱりこの人は未来を見ているのだ」と思った。今この瞬間も彼は「過程」にいる。変化し続けるもの、生まれ続けるものの渦中にいる。スタジアムでのワンマン、「今こそが人生最大のピークだ!」と大声で叫んでも、誰も責めも突っ込みもしないであろう場面で、それでもこの人は、このバンドは、「次のアクションを楽しみにしていてほしい」と私たちに伝えるのだ。物語はまだまだ続いているし、話はここからなんだ、と。
玉座に胡坐をかくことをよしとせず、常に進み続け、はみ出し続け、問い続け、楽しみ続けるバンド。ONE OK ROCKはそういうバンドだ。そんな彼らが9月から10月にかけて開催してきたワールドツアー「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」。各国でスタジアムやアリーナ会場を回った、日本のバンドとして異例と言えるであろう規模感の、巨大なワールドツアーである。その幕開けを飾った9月14 日、15日の2日間にわたる東京・味の素スタジアム公演の初日を観た。(以下、本誌記事に続く)
文=天野史彬 撮影=Kosuke Ito、Masahiro Yamada、Matty Vogel
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年12月号より抜粋)
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【JAPAN最新号】ONE OK ROCK、スタジアムを包んだ愛と熱狂、そして未来への予感──規格外のワールドツアー、そのはじまりを目撃した!
2024.10.30 12:00