【JAPAN最新号】求められるLiSAとは何か? 背負ったイメージを一撃で更新する新たな代表曲“Shouted Serenade”を語る

【JAPAN最新号】求められるLiSAとは何か? 背負ったイメージを一撃で更新する新たな代表曲“Shouted Serenade”を語る

私はちゃんと自分が永遠に楽しんでいたいし、誰かに迷惑かけながらLiSAをやりたいわけじゃない。
だから、衰えていくだけなんて嫌だと思ったんです

会心の一曲だ。
ファンとしてもこれぞ「待ってました」という一曲、そしてLiSA自身が長年背負ってきたパブリックイメージを一撃で更新してみせる超快感の一曲である。“Shouted Serenade”はこの10年、LiSAが作ることのできなかった、いや、「作ることを自分に許さなかった一曲」なのだ。

LiSAのライブには凄まじい高揚感と幾度も押し寄せるクライマックスが搭載されているが、その誕生以来、最大の起爆剤となってきたのが、代表曲“Rising Hope”である。ポップソングとしての大衆性、アニメソング随一の起爆性、仕掛けにつぐ仕掛けが怒涛の展開感を生み出すギミック、ロックとしての圧倒的な地力、そしてLiSAというアーティストが歌い、伝えるべき一人称の言葉、そのヒリついた切実な訴え。そのすべてが最高純度で刻み込まれた、今聴いても奇跡のようなバランスをもった楽曲だと思う。日本独自の音楽文化が生んだ最高傑作のひとつと言ってもいいだろう。

“Rising Hope”が生まれたのが2014年。それから10年、LiSAは“紅蓮華”を歌い、“炎”に出会い、「LiSA」というアーティストのイメージを巨大化させてきた。そのイメージを背負い続けながら、LiSAは、その歩みの先にもあとにも誰一人似たものの存在を許さない孤高の道をひた走ってきた。つまり、“Rising Hope”は、今僕たちが抱いている「あのLiSA」像──とてつもない身体性を迸らせ、連続する高音を超高精度のピッチで撃ち抜き、血を流すようなパフォーマンスを見せたあとで満面の笑みを浮かべてみせるロックヒロイン──の始まりの曲であり、キャリア序盤で手にしてしまった究極のマスターピースだったのである。LiSAは10年、この曲に何度も助けられてきたのと同時に、そのあまりの存在感に時に苛まれながら、向き合い続けてきた。

そして、今、長らく「求められてきたLiSA」に向き合い、新たな金字塔を打ち立てること、その決意の証明として発表されたのが、新曲“Shouted Serenade”なのである。

こう書けば、この曲の重要性がわかってもらえるはずだ。長年インタビューをさせてもらってきた自分としても、ここまでの精度で「あのLiSA」像を更新してみせる楽曲が届けられるとは思っていなかった。いや、“Rising Hope”を超え、一撃で刷新する──そんなことは不可能だろうと思っていたのだ“Shouted Serenade”はほとんど奇跡のような楽曲だ。奇跡は二度起こる。そんな言葉が今、脳裏に浮かぶ。

ただただ聴いてほしい。LiSAはLiSAにしかできない、トップオブトップの歌を武器に、開拓者としての道を今日も進んでいる。未踏の地を往く、LiSAの孤高の旅路はまだ続く。

インタビュー=小栁大輔 撮影=岡田貴之
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)


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